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 初のソロツーリング!静岡・愛知・三重自転車の旅

6日目 (03/02/20/木)編

起きる直前、久しぶりに夢を見た。夢の内容は今日やる予定のこと。朝起きて、ご飯を食べて準備をしてさよならを告げて走り出す・・・。そこまでいったところでYさんに「朝だよー」と起こされたため、しばらく何が起こっているのか分からなかった。なんだか行動がループしているような変な感覚。デジャヴとでも言うのか。
時間は5:25。今日から行動開始だな。

朝から暖かい食事を食べさせてもらい、天気予報を見たりしながら手早く準備する。軽く2、3合はあるであろう大量のおにぎりを作ってくれた。おにぎりだけで良いと言っていたのに、わざわざタッパー入りのおかず付き。感謝感謝だ。

そして7時ちょっとすぎ。さよならを告げて出発。
まずは1号線で伊勢湾近くまで行き、そこから県道6号で三重県の鳥羽を目指すことにした。そこからフェリーで伊良湖へ行き、渥美半島を走って浜松から新幹線に乗る・・・。
きっちりと予定を決めずに出発した野宿旅の場合、何日目かに今後の予定がスッと決まることが多い。宛のない旅をしていて、何となくしか決まっていない明日の予定が霧が晴れたようにはっきりとする。不思議な感覚だ。

まずYさん宅からR1へ戻るため、木曽川の中州を走る道を選んだ。「中州ロード快走二車線」とツーリングマップルに記載されていたが、大失敗。土手の上の走る道なのだが、ガードレール無し、路肩なしだった。車道の左端の白線から左側は芝生の斜面。片側一車線で追い越し禁止の道で、トラックも多い。
つまり、後ろから大きい車が来た場合俺が路肩の端によけることが出来ないため、対向車が切れるまで後ろの車は俺を追い越しできないのだ。もう慣れっこだからあまり気にもしなかったが、のんびり走るわけにも行かず息が切れるくらいのスピードでペダルを回す。やはりバイク用のツーリングマップル。自転車には使えないか・・。

途中で雨がぱらつき出す。初めはすぐ止むだろうと思って気にしていなかったが、だんだん強くなってきた。つぶも大粒になり、いよいよ「レインスーツ着なきゃダメか?」と思ったら急に止んだ。良かった・・・。

走り出して3時間。10時を過ぎた頃に小休止。


↑河原でYさんが作ってくれたおにぎりを食べる。すごい量なので半分ほどで残りは後にとっておいた。

ふと、トイレに行きたくなる(小のほうね)。
辺りを見回すと、人こそ全然いないものの、隠れる茂みが見あたらない。上の写真の右側が河川敷になっているが、枯れ草だらけ。左側は一段下がって住宅街だ。
うーむ、この先のコンビニでもいいんだけどなぁ・・・。意を決し、河川敷の草むらでイジェクト。普段狭いトイレの中でしているのに、こんな広い空間でするのも、まぁ開放感があって言いわな。


↑同じアングルで、後ろの工業地帯を撮ってみた。何本も並ぶ煙突からモクモクと煙が上っている。水蒸気なら良いのだが。


そして10:30に出発。伊勢湾沿いを走る県道6号線にのり、南下。1時間ほど走っただろうか、近鉄名古屋線白子駅周辺で迷った。(ちなみに、ここから5kmほど内陸へ行くと鈴鹿サーキットだ)
近くに郵便局(鈴鹿江島局)を見つけ、ちょうどタイヤを買ったせいで現金不足だったから入る。ATMで2000円をおろした。
野宿旅の時は現金を10,000〜15,000ほどしか持ち歩かないようにしているので、大きい出費があると現金が不足する。そんなとき日本全国どこにでもある郵貯のキャッシュカードは最高だ。

全く現在地が把握できないので、郵便局に来たおばさんに道を尋ねた。すると「白子駅はこの道をまっすぐよ」と教えてくれた。現在地が分からない以上、とにかく白子駅まで行って地図上での自分の位置を確認しないといけないと思いそちらへ進んだ。

だが、これが失敗だった。元々方向音痴の俺だが、入り込んではいけなかったようだ。住宅街のような場所なのだが、どこへ行っても袋小路になっていて出られなくなってしまった。郵便局までの道は覚えているから元に戻ることは出来るが、戻ったところで郵便局がどこかも分からないから意味がない。仕方ないので堤防沿いの道を走ってみたら2kmほど進んだところで行き止まりになってしまった。堤防から降りる道はないので、再び引き返す・・・。いかん、ドツボにはまってしまった。

あとで地図を見て確認してみたが、それまで走っていた県道6号は白子駅のちょっと手前で切れていて、それ以降は国道23号に移る必要があったらしい。それを気づかずにまっすぐ走っていたので謎の住宅街迷路に入ってしまったようだ。イライラが募るが、良くあることと割り切りのんびりと走った。
人に聞くのが一番はやいのだろうが、どういう訳だか外にいる人が一人もいなかった平日の午前中の住宅街ってこんなもんか?

住宅街で30分以上格闘していただろうか、なんとか大きい通りに入れた。標識で確認すると国道23号線。やっとこさ目的の道に復帰だ。疲れた・・・。
その後しばらく23号を走り、12:30に津市入り。12:50に安濃川のほとりにある小さな公園でお昼にした。


↑Yさんが作ってくれたおにぎりの残りを食べる。6個くらいあったと思うが、結局昼までには食べ終わった。

ここで、おかずを食べる道具がないことに気づく。そりゃぁ野宿旅をしているからハシ類は持っているが、サイドバックの奥底に入っていて取り出すのも面倒だ。めんどいから手づかみで食べるかーなんて考えたが、ふと思い出した。そういえば、いつも使っているツールナイフ(ビクトリノックス ハントマン)に爪楊枝ついてたな・・・と。
こいつを買ったのは中学生くらいの頃。これまで一度も使ったことのない機能だが、やっと使ってあげることが出来て良かった。


↑公園で出発前に一枚。風が強くて髪の毛が目にはいるし、花粉がすごくてしかめっ面。でも、この程度の風などたいしたことは無いと言うことが夜に分かるのだった・・・。

公園を13時過ぎに出発。ひたすらR23を走る。町中を走る道だが、比較的良く整備されていて走りやすい。歩道も自転車通行可の標識が出ていて広く、あまり人もいないのでやっとスピードが出せた。



↑津市から松坂市までの間のどこかは忘れてしまったのだが、途中にこういう加工をされた歩道があった。自転車が通るところの段差がコンクリで埋められていて、「ガッタン」といった衝撃がない。たくさんの荷物を積んでいる身としては、こういう配慮がとてもうれしい。
距離にして1kmくらいの区間だったが、自転車のためにこういう整備をしてくれていることに感動した。

途中サンクスで食料(やはり「チョコチップスナックパン」)を買ったりしつつR23を走る。今日は朝からそうなのだが、とにかく風が強い。日常生活でたとえると、
・髪がぼさぼさになる
・雨が降っていても傘はさせない
くらいの強さだ。たまたま強い北風に対し進行方向は南。おかげで追い風となって走っている間だけは良かった。あれだけ荷物を積んでいる自転車なのに、軽く漕ぐだけで平地で43km/hまで出た。

時間は3時を過ぎ、そろそろ野宿地のことを考え始める時間だ。当初の目的では今日中に鳥羽(伊良湖へのフェリー乗り場)にはたどり着けないと思っていたので適当に途中で野宿地を見つけるつもりだったが、この追い風の力を借りれば今日中に鳥羽に着けそうな気配だった。俺の悪い癖なのだが、どういう訳だか旅に出ると無理に先を急ぐ所がある。
後ろから誰かに押されているかのような強い追い風を受け、俺は「イヤッホー!ナチュラルパワーアシスト最高!」なんて脳天気に喜んだ。頭の片隅では「こんなに風が強いとテントが張れないな」なんて不安もあったが、あまりこのときは深く考えなかった。



↑やがて国道23号線から鳥羽方面へ向かうR42への分岐についた。(三重県伊勢市)
まだ夕方というわけではないが、だいぶ日は落ちてきた。鳥羽まで地図で適当に読んであと15km。少し急いだ方が良さそうだ。

国道42はそれまでの43号線と違って、やや山の中を走るコース。激坂林間コースではないが、それまでの平坦な道からうってかわってアップダウンの続く道となった。このころからいっそう風が強くなり始める。

走り始めて5kmほどの所に「夫婦岩」というそれなりの観光名所があった。先を急いでいるし、こんな強風でどうしようか考えたが、「急いでいる」という理由で見たいところをパスするのは俺の野宿旅ポリシーに反するから・・・とハンドルを向けた。夫婦岩は名前の通り縁結びで有名のようだ。俺にはあまり関係ないか・・。


↑これがその夫婦岩。「ふうふいわ」じゃないぞ。「めおといわ」だぞ。
海面を見てもらえれば分かるが、ここも強風。海からはしぶきがばんばん飛んでくるし、カメラも三脚どころか構えてもぶれてなかなか撮れない。
俺はこの岩、縄がかけられて無理矢理二つの岩に関連性を持たせているだけのような気がするのだが、他の人はどう思うんだろうか。なんかタダの岩な気がするんだが・・・。


↑この奥へ言ったところから夫婦岩を見ることが出来る。神社かなにかの併設物という感じ。
あまりに風が強く、俺が帰るときに来た若いカップルは途中で引き返していた。縁結びで有名な観光地から強風で追い返されるとは・・・。おまえら、長く続かないな。

だいぶ日が暮れ始め、夫婦岩の先はトンネルがある。ここでリアフラッシャーをONにして出発。海沿いの傾斜地を走る道だから、登ったり降りたりが多くてなかなか大変だ。
それにしても、この夫婦岩から鳥羽の港までやたらと廃墟が多かった。主にレストラン系と宿。「リゾート」という言葉に関連した建物が多いが、昔は観光名所だったのかな?まるで房総半島のようだ。日も落ちて強風吹き荒れる交通量の少ない山道・・・。心細い。「便数少なく夕方に終了。注意」とツーリングマップルに記載されている伊良湖へのフェリー。乗れるのだろうか?今日はこんな強風でどこで寝ようか?こういうときには様々な不安が一気に襲ってくる。



↑そんななか、突如出現した謎の建物「国際秘宝館」。建物自体がすでに秘宝化しているのだが・・。なにかの博物館の案内看板なんだろうか?とにかく謎で激しく不気味。あたりの廃墟と関連してそうである。


1時間ほど走って、17:20ごろなんとか鳥羽の港が見えてきた。「ボーッ」と汽笛をならしながら、大きなフェリーが入ってくる。あれが最終便だ!と思い、スピードを上げて急いだ。
そして15:30にフェリー乗り場到着。どこから入ればいいのか分からず、ひとまず車の乗船口にいるおじさんに声をかけた。時刻表を見ると、思った通りさっき入港したのが今日の伊良湖行き最終便。出航まであと20分ほどだった。伊良湖には「伊良湖クリスタルポルト」という道の駅がある。「鳥羽は風が強いし、テント張れそうな場所もないから伊良湖の道の駅に行ってそこで寝よう」と思って乗船することにした。これが最大のミスとなる。

窓口のおじさんは「自転車をあそこに置いて、上のチケット売り場で乗船券を買ってきてくれ」とのこと。同時に「車種証明」みたいな物をもらった。こっちの乗っている乗り物を書き込んである。本来は車のサイズ等を書く物だが、自転車は乗り物扱いなのでこの紙が渡される。

上に登るとやたらと小綺麗なチケット売り場があった。売り場のおねーさんも若い人ばかり(笑)
こっちは強風で髪はぼさぼさ、顔は排気ガスで真っ黒。身なりもドロドロで汚い。仕方ないか。
料金を言われた後、冗談半分で「学割って効きませんか?」と尋ねてみた。すると「学校から発行される学割証があれば可能です」との返答。今回は新幹線で帰る予定なので学割証を発行してもらってきたのだが、念のため2枚発行してもらって正解だった。学割証を出して安くしてもらう。片道1,600円の所を1,390円。210円は大きい。


↑乗船券。1,600円の2割引になるんだから1,280円じゃないのか?と思ったが、自転車(ライダー一名含む)の料金とは、乗船運賃1,050円+自転車運送料550円という仕組みになっていて、割引されるのは乗船運賃だけだから1,390円だ。まぁ、安くなるだけオッケーだな。


↑フェリー前の駐車場で乗船開始を待つ。俺以外にはトラック数台と車が十数台。そして前に見える団体ツアーとおぼしき観光客のみだ。この観光客については後述する。

やがて乗船が始まった。まずは自転車が先らしい。おじさん二人に早く来いとせかされるが、こっちは重くてそんなにはやく走れないッス!
待っている観光客や車のドライバーにじろじろ見られる。特に団体の観光客が総員「なんだアレは!」という目で見てくるのが気になった。チクショウ、おまえらと違って俺はツアーが嫌いなんだよ・・。

自転車でフェリーに乗るのは、千葉房総半島ママチャリツーリングの時以来だ。あのときと同じく、端っこにゴムや縄でくくりつけられる。「スタンドがない自転車なんで、適当に立てかけてください」と言うと、係の人はわざわざゴムホースのかかっているところにしてくれた。「ここなら傷が付かないだろう」だってさ。ありがとう!



↑フェリーで係のおじさんに頼んで撮ってもらう。カーフェリーなので排ガスがひどい。なんだか幹線道路ばっかりを走っている今回の旅だから、もう慣れっこだが・・。

階段を上がり、客席へ。ここから伊良湖まで50分の航海だ。客室へ入って少し驚いた。先ほどの団体客、どうやら日本人ではない。アジア系の顔立ちだったから間違いなく韓国・中国周辺だと思う。

やがて出航の汽笛が鳴り、フェリーはゆっくり動きだす。と、揺れる揺れる!さすがにあれだけ外が強風だから当たり前だが、すごい揺れだ。一応外に出て写真を数枚撮った後、すぐに客席に戻った。とても歩いていられない。


↑さようなら三重県。また来るその日まで。


客席で地図を広げてルートを書き込んだり、旅メモを記述したりして過ごす。
それにしてもあの団体の外国人集団がうるさくてたまらん。大声でわめきながら酒盛りしたり、船室内を走り回る。荒れた海なのでかなり揺れるのだが、それを喜んで大きな大人まで無理に立ち歩いている。ある20才くらいの男なんか、開ければ水しぶきがかかるのが分かり切っているドアを開けて、当たり前のように濡れていた。船室内に暴風が吹き荒れるから、やめろっつーのおまえ。
まったく、他の国に来てまで「僕たちツアーのバカ観光客デース」とやらなくても良いのに。でも、逆に外国で日本人ツアー客がバカにされているのは、日本人観光客が外国でこういう事をやっているからなんだろうな。ブランドを買いあさる日本人ってのは、きっとその国の人間にこう見えるのだろう。

と、こういう事を旅日記に書いたりしていると、さらに揺れが激しくなってきた。売店の人もソフトドリンク販売機をカウンターからおろしたりしているから、普通じゃない揺れなんだろう。あまり乗り物酔いしない俺でもこれはキツイ。メモを閉じてじっと椅子に座って耐えた。
さっきまで騒いでいたツアー客も急におとなしくなってみな椅子に座っている。揺れはどんどんひどくなり、ドーンという音と共に船が持ち上がり、そしてひゅーっと落下する。気分は遊園地にある「バイキング」そっくりだ。(振り子状の船が揺れるヤツ)

船員(みんな女性。一人は可愛かったぞ)が「ご気分の悪い方いらっしゃいませんかー」と袋を配り始めた。ロゴの一つでも入っていればもらおうかと思ったが、タダの青いビニール袋だったからもらわなかった。
やがてさっきさんざん騒いでいた人たちのあたりから「うぇ×××(自主規制)」と音が・・・。ケロっとしている船員はやっぱりすごいなーなんて思いながら、椅子の上で耐えた。まだ気分は悪くなっていないが、こういうときに余計な動作をすると「来る」から、遠くを見つめてじっとしていた。

18:30になんとか荒れた海の航海を終え、伊良湖へ。50分だから良かった物の、これが数時間級のフェリーだったらやばかったな。自転車の固定を解いてもらい、フェリーのハッチが開くのをアジア人観光客と一緒に待つ。興味ありげと言うよりかは汚い物でも見ているような感じで顔をしかめるのが気に入らないが、まぁ放っておく。

じろじろ見られて気分が悪いので、ハッチが開いたと同時に外へ走り出した。だが、フェリーから出た瞬間危うく転ぶところだった。とにかく超強風!鳥羽港から風を避けてこっちへ渡ったのが失敗だったというのをその瞬間に悟った。ギアを軽くしていたので何とか転倒は避けられたが、とても乗っていられない。降りて押しながら道の駅へ向かった。
先ほどの観光客はハッチ前で待っていたバンに乗り換えてどこかへ消え、他の車やトラックもどんどん走り去っていき、あたりは急に人気が無くなった。聞こえるのは波の音と、「ゴーッ!」という風の音だけ。

この道の駅「伊良湖クリスタルポルト」とは、単にフェリーターミナル兼土産物屋を「道の駅」と称しているだけで、名ばかりの物だった。トイレも夜間は建物の裏に小さい物があるだけ。あとはふきっさらしの広大な駐車場があるだけだった。
まずい、寝るところがない・・・。この強風ではテントを張るどころか張る前に飛ばされてどこかへ行ってしまう。どこか野宿地を探すにも風が強すぎて自転車に乗れない。俺、大ピンチ。

ひとまず船の乗員詰め所みたいなところがあり、作業員らしき人たちが休んでいた。「野宿旅をしているのだが、どこか風を防げそうな場所はないか?」と言うことを聞くが、つれない返事。実際に無いようだし、それ以上に「疲れているからどっかいけ」みたいな感じだった。

仕方がないから自転車を駐輪場の端にくくりつけ、徒歩で建物周辺を探索。夏の関東四県ママチャリツーリングでお世話になった非常階段の踊り場という手もあるが、テントを張るにはやや厳しいスペース。冬なのでテント無しはかなりキツイから最悪の手段だな・・・と思って他をあたる。
あたりにはうなるような風の音が響きわたり、イヤな感じだ。

30分以上もあたりを歩き回るが、成果なし。唯一期待していた建物の裏も、「まぁテントは壊れないかな」というくらいであまり意味がなかった。途方に暮れて、建物裏手のゴミ捨て場のような所で、そばに積まれていた段ボールを敷いて座り込む。あぁ、どうしようか。持っている服を全部着て段ボールにくるまって非常階段で寝るか・・。あれこれと考える。ゴミ捨て場に住み着いている野良猫がこっちをずっと伺う。寝るところが見つからず途方に暮れた野宿チャリダーがゴミ捨て場で野良猫とにらめっこ・・・。うぅ、みじめだ。

時間は20:30分。もう船が着いてから2時間もうろうろしていることになる。このまま考えていてもしょうがないから、もう一度建物の周りを調べ、どうしようもなかったら踊り場で寝よう。そう考えて立ちあがった。さっきまでは「どうせ無駄だろう」と見に行っていなかった建物の風上側も見に行ってみることに。海が見えるところは特に風が強く、風上に向かって歩くことが出来ないので、建物を伝ってゆっくり進む。

すると、なにやら明るい光が漏れている場所を見つけた。よく見ると、なんとなく見慣れた赤い電球。急いで近づき、中を覗いた。しめた、無人の交番だ!
とにかく、中に入る。重いしっかりとした作りのスライドドアを開けて中に入り、閉めるとそれまでの強風とその轟音がいっきに消えた。暖房こそかかっていない物の、明るくて無風。ほっと一息をつく。
表示を見ると「伊良湖警官詰所」。正式には交番ではないようだ。深夜帯ではほとんど人のいない場所だから、警官もいない模様。机に警察署に繋がる電話が置いてある。



↑これがその交番内部。奥に見える扉は鍵がかかっていて空かない。おいてあるペットボトルと軍手は俺の物。

ひとまず疲れていたので、寝る寝ないに関係なく座ってパンを食べる。とてもなにかを作っていられるような状況では無かったから、やっぱり行動食のチョコチップスナックパンだった。心細くて寂しかったから、なんとなく掲示板に書き込みをしてみた。


by まごころ

昨日は書き忘れてた。昨日・一昨日と吉村さん宅にお世話になっていました。という訳で出発は今日。
今日は、実はまだ寝る(寝れる)とこが決まっていません。現在地は渥美半島の道の駅伊良湖クリスタルポルトっつーところ。今日の最終便でこっちに渡りました。
野宿しようにも「風上に向かって歩けないレベルの風」が吹いていて、テント設営不可。建物に忍び込もうにもフェリーの作業員たちがいるかもしれないし…。
今日一日風が強かったんだけど、伊良湖でこれほどまでとは。読みが外れて大後悔。

つづく

..2003/ 2/20(Thu)20:31

つづき

そういう訳でただ今かなり途方に暮れています。心配、不安、孤独、いろんなもので頭が一杯だよ。他の場所を探そうにも風が強過ぎて自転車乗れないし。
んで今は無人の交番(電話で警察と連絡取るってやつ)の中に居ます。
警官が来て追い出されるまでこのなかで寝てしまおうかな?電話で聞いたらやぶへびになりそうだから止めているんだけど。

書いている間に決心しました。明日の夜明け前までこの中で寝れるかチャレンジします。
追い出されたらそのときはそのとき。なんとかするさ。
という訳で今日は道の駅クリスタルポルト内の警官詰所で寝てみます。
ちなみに明日の夕方帰宅予定。がんばるぞ。

..2003/ 2/20(Thu)20:43


後から読み直すと「なに泣き言いってんだよ」と自分でも思うが、このときは本当に心細くてしょうがなかった。その証拠に旅日記にはB6サイズのページ2ページにわたりあれこれと行動や心境に関する記述が。でも、掲示板にぐだぐだ書いている間に「ここで寝てしまえ」と決心が付き、寝ることに。
書き込み内容を見てもらえれば分かると思うが、電話して「ここで寝ても言い?」なんて言ってもやぶ蛇になるだけだろうからやめた。もし夜中に警官が来て追い出されたとしても、それまでは寝れるのだ。だったら寝てやる。



↑ババーン!俺の今日の寝床です。まさか交番で寝ることになるとは思わなかった。

書き物をしたりパンを食べたりとあれこれをしていたら23時過ぎ。外の強風を見て寝る前のトイレに行く気にもならず、シュラフをセットしてさっさと中に入った。シュラフに入ってふーっとため息をつくと、急に落ち着いてきた。強い風の吹く中一日外にいるとさすがに体力を使う。2時間以上もあれこれと寝るところを探していたから、余計だ。

シュラフに入ってからは目を閉じて数分で眠りについた。何度かトラックが駐車場に来た音で目が覚めたが、夜の間はほとんど人の来ない道の駅が皮肉にも幸いして、邪魔も入らず寝ることが出来た。去年の2月は3シーズンシュラフで極寒駅寝を経験し、今年の2月は交番でゲリラ野宿。どうも俺は2月に旅をすると良いことがないらしい。来年の2月は、俺は何をしているのかな。


走行距離 128.73km (累積453.45km)
平均速度 17.9km/h
最高速度 43km/h
純走行時間 
7:11:33

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