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 初のソロツーリング!静岡・愛知・三重自転車の旅

2日目 (03/02/16/日)編

午前4:30、携帯の目覚ましで目を覚ますも昨日の夜になかなか寝付けなかったのでかなり眠い。ファスナーを開けてテントの外をうかがい、まだ真っ暗で人もいないことを確認してから二度寝に入った。
野宿旅においては朝はさっさと撤収するべきだろうが、眠すぎて動けないから仕方あるまい。

そういえば、時間は分からないが夜中に犬が口で息をする「ハッハッ・・」という音で目が覚めた。「クソ、また野良犬君か」と思って大きく息を吸い込み「シーッ!」っと音を出した。今までの経験上、これが一番効果的。すると犬の音は一瞬止まり、また歩き出した。眠かったのと、去っていったようなのでそのときは眠ったが、よく考えてみるとアレは夜に犬を散歩している音だったのではないだろうか?もしそうだとしたら、散歩させている側は、公園に張られた怪しいテントから突然「シーッ!」なんて聞こえてきたから驚いただろうな。ごめんなさい。

その後テントをたたく雨の音で目が覚めた。時計を見るともうすぐ6時というところ。テントは一部東屋の屋根からはみ出ているのだが、その部分に雨が当たって音が鳴ったみたい。本降りになる前にテントを片づけたかったし、いい加減夜も明けるからと起き出した。今日は雨。さて、どうするか・・・。

ひとまず、朝ご飯を食べないことにはどうしようもない。基本的には自分の体力が頼りだから、ちゃんと燃料を補給してやらなけりゃ動けないからね。前日の夜に2合米を炊き、そのうち1合をカレーで食べて残りを残して置いたので、それにお茶漬けの素をつっこみお湯を入れて食べる。


↑雨がぱらつく中、お湯を沸かしてお茶漬けを作る。夜明けの曇り空。防風林が不気味な感じ。



↑俺の朝食。インスタントみそ汁とお茶漬け。両方とも、もし自宅で食ったらまずくて食えないくらいの代物。でも、外だから文句を言わず食う。お茶漬けは半分くらい食べた時点で冷え切ってしまい、再びストーブで加熱とかしていたらそのうち「おじや」になってしまった。まぁそれはそれで良いのだが。

このころ、起きたときに降っていた雨が一時的にやんで「やった、晴れるか?」と思ったら、再び雨が降り出す。片づけをしつつ今日はどうしようか考えていたら、昨日犬の散歩に来ていたおじさん(マッタリとした時間を過ごしたあの人)がまた現れた。「昨日はここで寝たのか。今日は夕方までずっと雨だぞ。走るのか?」と聞かれ、「ええ、レインスーツ着て走るつもりです」と答える。ちょこちょこっと会話を交わした後、雨がいっそう強くなってきたのでおじさんは散歩を終えて帰っていった。「がんばりな」の一言。

少しだけ「今日はここで停滞して、明日晴れてからスタートしようかな」なんて考えてみた。でも、せっかくレインスーツも買ったんだし、こんなところでのんびりしていても・・・と出発を決めた。装備類にビニール袋かぶせたりレインカバーかぶせたりして、自分もレインスーツを着込む。なんだかんだと準備に手間取り、公園を出発したのは8時だった。

出発してすぐに問題に気がつく。唯一レインスーツでカバーされていない足が濡れるのだ。そう、靴の防水を何も考えていなかった。出発時は「もし雨が降ってもそんなに濡れないだろう」とタカをくくっていたのだが、よく考えるとタイヤの巻き上げた水をモロにくらうのが靴だ。仕方ないので、持っていたビニール袋を靴の上に履き、それで漕ぐことに。ひどいスタイルだが、やむを得ないだろうと自分を納得させる。おすぎだかピーコだか忘れたが、スタイルチェックされたら最低点は確実だ。

出発後5kmほどで、海の上を国道が走る大崩海岸に着いた。断崖絶壁の崖に国道がある、静岡をチャリで走る人には有名なスポット。


↑初めはこんな感じに海の上を橋のように走る道路。これはまだ良かった・・。



↑問題はここから先。まず、落石防止のシェルターに囲まれた追い越し禁止の狭い道へと変化する。写真に見えるのがそれの入り口(鉄の階段じゃなくて、その向こう側の道路)。この道を前にして車が怖くてビビってしまい、一時的に待避所に逃げ込んだ。雨だというのに走り屋っぽい車が次々と排気音を響かせて通過していく。

怖いが仕方がない。リアフラッシャーのスイッチを入れ、落石シェルターに突入した。道幅が狭く、対向車線に車がいる間は後続の車が俺を追い越しできないから、上り坂で大変だけど必死に漕いでトンネルを抜ける。その後5kmほどは噂に聞くとおりの断崖絶壁ロード。路肩はガードレールではなく、高さ50cmくらいのコンクリートの壁。転び方によっては海まで真っ逆さまだ。路肩は狭いのに車が多く、とても写真は撮れなかった。

天気が良ければまだしも、雨でレインスーツを着ているから蒸れる!一応透湿素材だけど、発汗量が多すぎてとても追いつかないみたい。いつぞやの「松姫峠」に比べればマシな坂だしそんなに距離もないけど、天候のコンディションが最悪なので結構大変だった。あと、後ろの車に追いたれられて自分のペースで走れないのも結構影響したと思う。


大崩海岸をクリアし、そのまま焼津市街を通過した後R150を走る。しばらく走ると、再び太平洋岸自転車道の看板が。


↑初日にちょっと問題ありのルートだったが、「〜御前崎町下岬」と書いてあり、目的地と同じ。行けるかも?とそっちに向かうことにした。



↑サイクリングロードで一枚。記念にしたくもないが、一応雨の装備でも撮っておくか・・と撮影した。レインスーツ上下に帽子(これ重要)、サイドバッグは全部カバーし、キャリアの上の荷物もすべてビニール袋で包んである。完璧に浮浪者・・・。


この先数キロの所にサッカーグラウンドがあり、ジュビロ磐田のロゴが入ったジャージを着た少年たちが雨の中サッカーをしていた。バスが止まってたりしていたし、試合でもしてたのかな。その近くにトイレ・水道付きの東屋があったので、ラーメンを作って食べる。時間は11:12。ちょっと早めの昼食だな。


↑どんよりした雨のサイクリングロード。本当にテンションが下がる。すべてが濡れてじめじめするし、寒いし・・。やはり雨の日は走るべきではなかったかもしれないな。

いったん雨が止んでレインスーツを脱いだのだが、再び降り出してまた着る。
この東屋も屋根こそあるものの、風が強くて内部まで雨が吹き込んでくるので気休め程度。そんな中ラーメンを作って食べていた。時々トイレにサッカー少年たちとその監督者みたいな人々がやってきては、俺を見て「なんだこいつは」という目をしていく。そりゃぁ変なヤツに見えるとは思うけど、その目はねーだろ。
もうジュビロは応援しないからな(笑)

魚肉ソーセージをぶった切ってつっこんだサッポロ一番味噌ラーメンを、雨で寒い中一人食べる。遠くにはグラウンドでサッカーをする少年たち。向こうには活気があり、こっちはブルー。ちょっとだけ仲間がいてうらやましいなと思った。でも、俺は集団でやるスポーツってのは苦手。だからこそ一人で旅をしているんだけどさ。


色々考え事をしつつ、手早く後かたづけをして出発。海沿いの太平洋岸自転車道を再び走る。このあたりの太平洋岸自転車道は早い時期に作られた部分らしく、一部舗装がひどくてひび割れてごつごつしている。路肩からは草がぼうぼうと生えているし、雨で誰も人はいないし・・・。なんかすごい心細くなる道だった。



↑途中にあった「静波海岸」。夏は海水浴客でにぎわうのかな。もちろん冬の雨の日など誰もいない。なぜかあった自由の女神にウケたので撮影。なにか意味があるのだろうか。


そして2:30ごろに御前崎のちょっと手前にある「なぶら市場」という所についた。観光客向けの海産物市場で、お土産屋や食事をする所などが合体した、観光地に良くある施設。ひとまず軒下に自転車を入れて一息入れる。隣にロードレーサーが止めてあったので戻ってくるかなーと期待したが、俺が出発するまで持ち主は帰ってこなかった。

地図を見て、今日これからどうするか色々考える。夕方から雨は止むという予報だから、どこか公園を見つければテントを張って寝ることはできる。でも、服から靴に至るまで全部濡れ、俺の持ち物で乾いた物と言えば厳重に包んであるテント・シュラフ・衣類だけ。うーむ、野宿できなくは無いが、明日から行動に困るな・・・なんて悩んでいた。すると、御前崎にうまい具合にユースホステル(以下YH)があるじゃないか。会員じゃないけど、そんなに高くない値段で泊まれるのではないだろうか?
「おい、おまえは野宿旅に来ているのだろ?」とちょっと考えてもみたが、現状ではとにかく荷物と体を乾かすことを先決と考え、野宿はあきらめることにした。別に苦行に出ている訳じゃないから、楽な道を選んで普通だろう。それに、実は今日は朝から頭痛に悩まされていたのだ。

携帯の電池を使うのがイヤだったので、「なぶら市場」の正面にあったファミリーマートから電話を入れる。「今日泊まれるか、幾らか、何時から入れるか」などの当たり前の質問をしたのだが、なんだか「何でそんなこと聞くの?」って感じの受け答え。俺、なんか変なこと聞いたかな?

肝心の値段は非会員で食事無し3900円。まぁ、激安じゃないけどヘタなビジネスホテルよりかは安いし妥当と考え、泊まることにした。大体の場所を聞き、これから行くと伝えて電話を切り、再び雨の中を漕ぎ出す。
御前崎は「海沿いの土地」と「その上の台地」が重なった構造になっていて、どうやらYHはその台地の上にあるらしい。つまりはどこかで坂道を上らないと行けないわけか。

そうやって道を探しながら走っていると、御前崎の先端についた。静岡県最南端の地、御前崎。雨じゃなければなぁ。

↑上に見えるのが御前崎灯台。どうもあの周辺にYHはあるらしい。

この写真のちょうど反対側が海なのだが、ちょうど岬の碑の立っているあたりから海へ向けてスロープになっている。港で良くある漁船をおろすところみたいな感じ。スロープの先は海の中に消えているので、なにか物を落として転がるとそのままドボンだ。
海より手前数メートルに「ここより先滑るので危険」と書いてあった。本当に滑るか近づいたら、その表示よりも手前でマジで滑りそうになり、あやうく荒れた海にダイブするところだった。冗談じゃない、ヘタしたら命も危ない。怖すぎるので早々と立ち去る。

写真を撮ったところからちょうど岬を90度ほど回ったところに、台地の上へ上れる坂道を発見し、そちらへ。けっこうな激坂で、この旅で唯一インナー×ローの組み合わせを使用。それでも上れないからジグザグに進んだ。平地でこのギアの組み合わせをするとロクに走れないようなギア比なのだが、なるほど、こういうときに使うのか・・・等と感心。前にサイドバッグがついていなかったらたぶんウイリーしていただろうな。

坂道の途中におばあさんがいたので、「御前崎ユースホステルはどこだか分かりますか?」と聞くと、そもそも「ユースホステル」という単語を知らない模様。「えあ?ユースホテル??」とらちが空かないので、近くにあるらしい国民宿舎の場所を挙げてその場所を聞き、礼を言って別れる。結局良く分からなかったが・・・。

何とか坂道を上りきると、やたらとパラボラアンテナがたくさんある施設を発見。後で調べたら自衛隊の通信基地だった。その脇を通り、辺りを見回しつつ走っているとパトカーに遭遇。おーいと呼び止めて、ユースホステルの場所を訪ねると、「そんなもの、この辺りにあるのか?」だとさ。おいおい、たよりねーな・・・。

おじさん警官は後ろに積んであった住宅地図を引っ張り出し、俺の「国民宿舎の近く」という情報を手がかりに探してくれた。しばらくぱらぱらと地図をめくって、「あーあったあった。ここだよ」と道を丁寧に教えてくれた。さすが住宅地図だけあって、曲がり角の目印はわかりやすくて良い。
でも、方向音痴の俺。指示された通りに進んでもなかなか見つからず、別の人に聞いたりしながらうろうろし、3:30にやっと見つけた。時間にして30分以上も住宅街を走り回っていた。笑えるのが、二回ほど通った道沿いにあったと言うこと。小さくて目立たない看板があるだけで、一目見ただけではただの家。2階建ての宿舎はあったが、奥まった所にあるので気づかなかった。

YHもピンキリあるらしく、豪華で恐ろしく安いところもあれば廃屋のような所もあると聞いていて若干心配だったが、なんかペンション風のそれなりに良いところだった。

早速玄関に入ると、誰もいない。呼び鈴を押すとジャージ姿の男子中学生らしき少年が出てきた。「なんすか?」だってさ。そりゃねーだろ。「いや、あのさっき電話して今日泊まりたいって連絡した者なんですけど・・」と言うと、「おかあさーん」と人を呼んでくれた。そうか、YHってのは純粋なホテルとか旅館と違って、どちらかというと下宿に近いものだもんな。こういう感じなのか。

外のガレージで濡れた荷物を整理させてもらい、レインスーツをハンガーに掛けて干したりしてから中へ入った。ちゃんとカバーしていたサイドバッグだが、荷物を取り出したら底に水が溜まっていた。外側はレインカバーで防水できるが、タイヤ側はむき出しだから仕方ないのか。念のため荷物を大きなビニール袋に入れて置いたのだが、どうやら大正解だった模様。

宿代3900円を濡れた万札で払い、風呂の時間等を聞いて部屋へ。早速濡れた服を脱いで乾いた服に着替え、ファンヒーターをON!思う存分乾かしまくった。


↑YHの内部。二段ベッドが合計4つ並んでいて、一部屋8人収容だ。これが隣にもう一部屋あったが、たぶん繁盛期は男部屋・女部屋と別れるのだろう。今回は俺しかいないので、貸し切り。


風呂まで時間があったので、今の内に掲示板へ書き込み。今日はもうここで宿泊決定だから、やや早いけどいいか。

by まごころ

今日は66KM走ったところでギブしました。レインスーツ着ていたんだけど、だいぶずぶ濡れになったので近くのYHに入りました。
非会員なので食事無しで3900円。まぁ妥当かなぁ。ほかに客が居ないので部屋は俺の服だらけ。たぶん管理人さんがみたら驚くだろうナァ。
ていうか、雨の日は走らないか宿に入るかするべきだね(笑)。教訓だ。
そういう訳で今日は静岡の御前崎ユースホステル泊です。では〜

..2003/ 2/16(Sun)15:49

5時に風呂に入り、その後石造りの土間でご飯を炊いて再びカレーを食べる。

↑本当は朝夜ご飯付きにでもしたかったが、食料持ってるのになぁ・・なんて思って値段も聞かなかった。屋根と暖房があるだけでも十分贅沢さ!俺は満足じゃ。
あ、これ以降は髪型等に気を遣っていないので、見た目等への苦情は受け付けません(笑)。出発前に切っておけば良かったな。


↑その後コーヒーなんかを飲みつつ(こんな時でも豆を持ち歩くほどコーヒー好きです)ルートをまとめたり、旅行メモ書いたり、置いてあった雑誌を読んだりとのんびり過ごす。せっかく泊まったんだから、しっかり休まなきゃね。ちなみに、上に見える小型のメモ帳は俺が野宿旅を始めたころから使っている愛用のメモ帳。最初のページは津久井への一泊ツーリングの記録が書かれている。濡れたり汚れたり折れたりとボロボロだが、味があって良い。旅行中のいろいろな記録を書き込んでいるので、旅の間は自分の体の次に大事な物だ。

よくペンションとかにある「落書き帳」みたいなのがあったので、一応俺も書き込み。俺の泊まる数日前に同じく一人で泊まった人がいたらしく、書き込みがあった。が、「哲学を勉強している」とあり、数ページにわたって人生論について書き連ねてあった。軽く読んでみたが、俺には理解ができなかった。最後はボールペンのインクが切れたらしく、かなり強い筆圧でごりごりと刻み込むかのように・・・。うーむ、この人と一緒の日に泊まらなくて良かったかもしれない・・・。


このころ、YHの人に「夜遅くに自転車の2人組がくるよ」と教えてもらった。部屋は空いている隣を使うらしいので直接関わりは無いだろうけど、ちょっと待ってみることに。結局彼らは10時ちょっと前についたのだが、なんだか非常に話しづらい感じだったので特に何もせず部屋へ。目覚ましとファンヒーターのタイマーをセットし、掲示板をチェックしてベッドへ。

マットレスの腰のあたりが完全にヘタっていて、横になると体が「く」の字になってしまいかなり寝苦しかったが、ベッドの端に寄るなど工夫をして寝た。明日は7時に起きよう。


走行距離 66.66km (累積136.48km)
平均速度 16.7km/h
最高速度 36.5km/h
純走行時間 3時間59分58秒


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