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旅 初のソロツーリング!静岡・愛知・三重自転車の旅 |
(前日編) 出発の前夜になって「アレがいるかも」「これがいるかも」とあわてだし、装備を物置から取り出したあげくに「重いからイラネ」なんて事を繰り返していたら寝るのがだいぶ遅くなってしまった。記録がないが、たぶん1時は過ぎていたと思う。5時起床予定なのに何をやっているのだ、俺は。別に日本国内を走るんだから多少の準備不足は懐が痛む程度で済むのだが、やっぱり一人ってのは初めてだから色々不安があったんだと思う。でも、出発前の期待と不安も、旅の楽しみの内ではあるよな。 いまいち準備不足の感じがしたが、やはり明日からは一日中自転車に乗る生活。「睡眠が大事だ」と、適当に切り上げて寝ることにした。明日は5時に起き、6時に「しにゃ」に車で迎えに来てもらう。 その後国道246号を車で走り沼津まで送ってもらい、そこから自転車でのスタートを切る予定。 箱根を超えたくないというのもあったが、何度か走ったことのある地元の道を走る気にならなかったためだ。 目覚ましを朝5時にセットし、布団に入った。興奮して寝れないなんて事はなく、すぐ眠りについた。 湿気ったせんべい布団で寝るのも、これからはしばらくお預けだ。 1日目 (03/02/15/土)編 早速調子を崩すのだが、なんと寝坊してしまった。 旅の時は目覚ましのアラームが鳴り始めた瞬間に飛び起きて、頭は完全にクリアーということが多いのだが、まさか目を覚ましすらしないとは・・・。やっぱり寝るのが遅かったか?起きたとき、すでに自宅には「しにゃ」が到着していた。荷物は昨日の内にそろえておいたので、服を着替えて顔を洗って出発。しにゃを待たせてしまったな。 手早く準備を整え、しにゃ家の車(パジェロロング)に自転車を積み込む。ちょっとつっかえたので前輪をはずしたが、意外とすんなり入った。途中図書館に寄ってもらい、返却期限が今日(返すの忘れてた!)の本を返却ポストに入れ、コンビニ(ローソン)で軽い朝食をとってから国道246号へ。出発するのがやや遅れてしまい交通量は多めだが、比較的スムーズな流れだった。 ちなみに朝っぱらから「白身魚フライ入り焼きそば」なる物を食べたのだが、これはまずいから買わない方が良い。油ギトギトの焼きそばの上にぱさぱさしたプライ(衣の割合多すぎ)が乗っている。朝飯にするのは間違いか。 2時間ほど246を走り、沼津周辺で国道からそれて港の駐車スペースに車を止め、ここから自転車で走ることにした。記念撮影をして、しにゃと別れを告げる。改めて、「今回は一人か・・・」と感じた。 ↑沼津港で別れの一枚。これからは一人だ。 ↑このスタイルでこれから走る予定。重量があるので、加速・減速共にずっしりとした手応えだ。ギアを軽くしているからペダルが重くて・・というのはないが、あまり速くは走れない。しかも、前サイドバッグのおかげでハンドリングが重い・・・。慣れない内はまっすぐ走るのが大変だった。一度スピードに乗れば楽なものだが。 (一応ここで注意というか、お知らせをしておきたいと思う。 写真中、 ・サイドバッグ前 ・サイドバッグ後ろ ・足首 がまばゆい光を放っているように写っている物が多々ある。これは、そこに付けられた反射材がカメラのフラッシュに反射しているものであり、別に謎の現象とかそういう物ではないのでご注意を。俺のオーラでもありません。 特に感度が低いデジカメの方ではフラッシュが頻繁に発光するのでこの現象が顕著。いちいち目立ってイヤなのだが、安全性等を考えるとはずすのもアレなので、そのまんま東。あんまり気にしないで見てください。) 10:15にしにゃと別れ、自転車をこぎ出した。縮尺が13万分の1であるツーリングマップルではとても細部の道が分からないので、適当にコンパスを見て西へ走ってみることにした。沼津から出発しているわけだから、良く分からなかったらひとまず西へ行けば、少なくとも名古屋までの距離は縮まるだろう、という安易な考え方だ。 んで、案の定あっという間に迷った。港周辺の水産工場地帯で、なんか良く分からない工場の敷地に迷い込んだりと初っぱなから方向音痴ぶりを発揮してしまった。先が思いやられるとはこういう事か。そんなわけで、出発後15分ほどで、犬を連れているおじさんに道を尋ねた。「名古屋方面へ行く」と、方角だけ示して訪ねたら、「良い道がある」とわざわざ徒歩で案内してくれた。荷物が重い関係で歩行の速度に合わせておじさんを轢かぬよう自転車をコントロールするのは大変だったが、50mほど耐えて付いていった。このおじさん、胸に小型犬をだき、さながらアイフルのCMみたいだったな。犬はチワワじゃなかったけど。 「ここね、堤防の上を走る道なんだけど、ずーっと向こうまで続いてるから良いよ。見晴らしも良いし」と教えてくれたのはその通り堤防の上を走る道。まるでサイクリングロードのような、素晴らしい道だった。ありがとう、アイフルおじさん! ↑砂浜と広い海を左に眺めながら、堤防沿いの道を快走する。車が通らない道だから、自転車と歩行者に気を付けさえすれば良いので快適。まさか出発後すぐにこんな良い景色に出会えるなんて・・。晴れていて、とても気持ちよかった。 30分ほど走っただろうか、上の写真で見える湾の向こう側へ付き、国道139号線へ道を変える。ありふれた片側一車線の道路だ。道行く人々の9割は、間違いなく俺を見て振り返る。たしかに、目立つ格好ではあるな。ただ、どちらかというと怪訝そうな顔をされることが多いのであんまりうれしくはない。 国道を走っていると、対向車線に同じく荷物を超満載したチャリを発見した。目が合えば挨拶のひとつでもしようと思っていると、ただの浮浪者っぽかった。野宿チャリダーと浮浪者。あんまし違わないけどな・・。気づかなかっただけかもしれないが、向こうも特にリアクションが無かったので素通り。 今まで何度か旅の間に他の旅人と会ったけど、今回もそういう出会いはあるかな・・・。 やがて腹が減ってくる。ひとまずパンを買ってあるので、適当なところで食べようと思い地図を見ると、すこし道をそれたところに道の駅を発見。ややくねくねした道路の先にあるので山道かな?と思ったが、トイレにも行きたいところだし・・と寄ってみることにした。 結局坂道はあったもののそんなにきつくなく、すぐに到着。道の駅「富士川楽座」だ。 ↑道の駅「富士川楽座」で昼食。とはいっても、パンと水だけど。後述する予定だが、旅の相棒「チョコチップスナックパン」を食べ、水で流し込む。手軽・安い・速いので、行動食には適していると思うが、どうだろうか。 本当はライダーの一人や二人居ないかなーなんて考えていたが、車がちょこちょこ来るだけ。そこそこ車は止まっているのだが、後ろに見える建物に入っているのか、駐車場は閑散としていた。ま、寒いしね。 スタートしてからまだ30km。こんなところでのんびりしてもいられないので、適当に腹を満たして出発した。 道の駅「富士川楽座」を出発し、約1時間弱で国道一号線へ。ここからはこれをず〜〜っと走って名古屋まで行くのが基本のルートだ。どちらかというと海から離れたところを走るから、可能な限り海沿いを走るつもりでいるのだが、まぁ東海道沿いってのは変わらないルートではあるな。 どうせ途中途中バイパスになっていたりして、迂回したりと大変だろうな・・なんて思っていたら、いきなり片側2車線+中央分離帯・・・。予想していたとはいえ、いきなりかよ。東名高速道路と併走しているのだが、自転車の目から見るとどちらもあんまり変わらない速度で走っている。うぅ・・。 やべー、走れねーじゃん!なんて思って辺りを見回すと、なんか側道っぽい物を発見。そういえばご丁寧にも横断歩道があるじゃないですか。押しボタンを押してやたら長い間待たされたあげく、信号でスムーズな流れを妨げられたドライバーの視線を感じつつ道路の反対側へ。 ↑完全なカッ飛ばし道路。R1バイパス。手持ちのツーリングマップルにも、「ほとんど高速。速度に注意」と書いてある。写真のフェンスより左側が東名高速だが、どっちもさほど変わらない。この側道は道路より一段高くなっていて、スロープを手で押して登った。周りをものすごい速度で車が走るため落ち着かないが、少なくとも今走っているところ安全だから、考えようによっては良い道かな・・。 ↑側道から見えた謎の建物。アパート?学校?家?なんにせよ、「世界一列皆兄弟」だってさ。何が言いたいのかよくわからん。にしても、事実だとしたらやたらと仲の悪い兄弟だな。親は誰だ?北朝鮮のあたり、なんとか言ってやってくださいよ。あと、パレスチナとかイスラエルとかパキスタンとか。別に日本が育ちが良いとは言うつもり無いけど、ちょっと育て方に差がありすぎじゃねぇ?>>人類の親 ああ無念かな、やはり1時間もしない内に側道が無くなり、「この先のトンネルは歩行者・軽車両の通行はできません」との無情な看板が・・・。じゃぁどうすればいいかもついでに書いてくれるとありがたいのだが。まぁ、こんな所をチャリで走るバカはいないってか。 地図を見て、同じ方角に走る道を適当に選ぶ。おそらく国道52か国道149のどちらかだと思うのだが、結局良く分からなかった。 この旅に出ていたのは2月中旬。世間は年度末へ向けて駆け足の時期だ。そして、年度末といえば決まってあるのが予算消化のための工事。もうホントどこへ行ってもやれ下水道補修だ、舗装張り替えだ、草刈りだと本当に道路工事ばかりしている。 さっそくここで工事のため迂回を迫られることに。なかなか信号が変わらない間、誘導のおじさんと話をする。「一人じゃ、つまらなくねーか?」と聞かれた。「一人には、一人の楽しみもある」と答える。色々話をしながら走るのは好きだけど、色々考え事をしながらマイペースで走るのも楽しいと思うからね。 R1がバイパスで走れないため迂回をしていたら、いつの間にか静岡県清水市の市街地へ。土曜の午後なのに、なんとなく閑散としている。現在地が良く分からず、コンパスを頼りに走っては地図を見るを繰り返す。道端で地図を確認していたら、散歩中かどうか分からないが、眼鏡を掛けたおじさんが「道分からないの?」と話しかけてきてくれた。その通り分からなかったので色々教えてもらう。ちょっと行ったところに自転車道があるらしく、行き方を教えてくれた。ありがとう、おじさん。別れ際にももう一度方向を教えてくれた、親切な人だった。 ↑おじさんが教えてくれた自転車道。歩行者通路と自転車通路に別れていて、自転車通路の方は舗装がきめ細かく、走行抵抗が低くて良かった。距離にして10km無い短い物だったけど、煩わしい市街地を走らずに済んだのは大きかった。 3:30頃、清水港脇のショッピングセンター兼ヨットハーバーのような「おしゃれな空間」で一休み。「スケボー広場」みたいなのもあり、練習している奴らが多い。 なんか良い感じのカップルがいて、写真が撮りにくかった(アングル的に入ってしまうので)からしばらく待っていたら、オフ車に乗ったさほど年は離れていないと思われる兄ちゃんがやってきた。ヘタしたら同い年くらいじゃないのかな?向こうが俺のチャリのモデル(GIANTのグレートジャーニー)を知っていたので、しばらく話をした後、せっかくなので一緒に写真を撮った。そういえば、名刺を渡しておいたんだっけ。後で見てもらえるかな?後から思えば、この旅でライダーと話すのはこれが最初で最後だった。 ↑バイクのにいちゃんと一緒に。自転車でやりたいことを終えたら、次はバイクだなーといつも思う。でも、自転車の場合輪行でもしない限り短期で遠くには行けないから、時間のある今は自転車で走ろうと思う。 車の免許を持っているから二輪車の免許は簡単に取れるし、金銭的にも中古程度ならバイクくらい買えるくらいのお金はある。でも、今はまだ自転車の旅がしたい。だからまだ乗らない。 記念撮影後、軽くパンなどを食ってから出発。ショッピングセンターに野宿チャリダーは似合わない。 この後、清水港の真崎という所(ぴょこっと出ている先っちょです)へ行こうか少し考えたのだが、方角的に後戻りで5kmほどあるし、一度通った道を戻って帰ってこないと行けないからやめた。 このころ、時間は3時30分ごろ。あての無い野宿旅なので、そろそろ野宿地を考え始めないといけない時間だ(野宿地は日が落ちる前に見つけるというのが野宿の鉄則)。色々考えたが、出発の遅かった今日はとにかく行けるところまで・・・ということで、国道150号線を焼津方面へ走りながら、野宿地を考えることに。地図の所々に公園のマークがあるし、最悪海沿いなので、どうしようもなかったら浜で寝ればいいか・・・となんだかんだ言いながら安易な考え方だったと思う。 R150は焼津方向へ行くメインの道路であり、結構頻繁に青い標識で焼津まで○○kmとか書いてあった。おかげで方向音痴の俺も迷わず先へ進めた。 時々止まっては地図を見たりしながらのんびりと進み、道端の駐車場(何かのお店のかな?)でマッタリしていたらおじさんが話しかけてきてくれた。どこから来たか、どこへ行くか等ありがちな話をした後、浜松でテントを張るなら「竜洋海洋公園」が良いぞと教えてくれた。この人、いろんな旅人さんに話しかけているみたいで前にも外国人ツアラーに前述の公園を紹介したことがあるらしい。 しばらく話した後、礼を言って別れた。このときは「機会があったらその公園に行ってみようかな」程度に考えていたのだが、それが後にすごい役に立つ事となる。 ↑国道150線を夕日に向かって走る。ある程度しっかりした歩道があるので走りやすい。本当は車道が走りたいのだが、相変わらずの「高速道路まがい国道」っぷりを発揮していて、無理。 ツーリングマップルによると、このR150は通称「いちごライン」。3、4月はいちご狩りの客で混むそうだ。確かに、道端には田舎の幹線道路にありがちな果物直売所がずらずらと・・。いちご狩りの看板も多い。「いちご食いてー」とつぶやきながら、ちんたらと海岸線を走る。 しばらく走っていると、以下のような看板を発見した。 ↑「太平洋岸自転車道」! なんてそそられる名前なんだろうか!このころはまだこの道の本質を知らず、もちろんそっちの方向へハンドルを切った。 だが、この自転車道はかなり名ばかりである。名前からだと太平洋岸を書いてある区間、ずーっと走っていそうだが、実際はそうでもない。3kmほど続いたかと思うと急に無くなり、なんだよーと一般道を走っていると今度は全然関係ないところから急に始まったりする。自転車道を走っている間は車の危険もないしペースがあがって良いのだが、結局無くなっては一般道に戻って、再び出てきたらまた自転車道へ・・・なんて事を繰り返すと無駄な距離が多く、逆にペースダウンしてしまう罠。なんなんだよ、これは。 ↑太平洋自転車道の静岡県清水周辺はゴミの不法投棄が目立った。景観が良くないだけならまだしも、ガラス片が落ちているのが痛い。もしヘタに踏んだらタイヤがざっくりといってしまう。チューブもタイヤも穴程度なら直せるが裂けてしまうと直せない。チューブはスペアを持っているけど、さすがにタイヤは持っていないから、万一裂けるような事態になるとどこかで買ってきて交換しないと修理不能だ。それだけは避けたい。 後で聞いたり調べたりした結果、太平洋自転車道は ・昭和48年に計画された ・なんと銚子から和歌山まで総距離1200kmにわたる自転車道 ・でも、作り途中..... というもの。考えたは良かったが、計画倒れで終わってしまった感じ。途中に「太平洋自転車道の早期完成を!」なんて看板(ペイント)があったが、それそのものがすでに老朽化していた。 今回の旅では、静岡から愛知にかけて所々通ったのだが、すごい良いところもあれば舗装がぼこぼこに老朽化しているところもあり、もっと凶悪な道もあった。それはまた後日編で公開することにする。 そして太平洋自転車道を1時間ほど走り、5時ちょっと過ぎに静岡県静岡市の安倍川の河口にある大浜公園に到着した。初めは大浜公園の50mほど手前にあった小さい公園を大浜公園だと思ったのだが、心配になって犬を散歩に連れてきていたおばさんに「ここが大浜公園ですか?」と尋ねると、「隣だよ」と教えてくれた。 体力的にはまだまだ行けそうだったのだが、もう5時。そろそろ日が暮れるし、地図で見た限りこの先適当な距離の所に野宿地がありそうもなかったので、ここで今日は野宿することにした。 砂浜に沈む夕日がきれいで、自転車を降りて押しながらしばらくうろうろしていると急に自転車が重くなった感じがした。んん?っと見てみると、なんと後輪タイヤがパンクしているじゃないですか!!ふと頭によぎる、さっきのガラス。やばい、タイヤも逝ったか?まずいぞ? とにかく、見てみないことにはどうしようもない。野宿地が決まってからのパンクだからマシだったと考えてのんびり修理することにした。 ↑サイクリングロードの片隅でパンク修理。よく考えてみればこのチャリでパンクするのは初めてだ。それにしても、初日にパンクとは・・・。 どこの地域でも サイクリングロード=犬の散歩場所 となってしまうらしく、このときも5〜10人くらいの犬の飼い主同士が集まって井戸端会議中だった。みんなと犬の熱い視線のなか、せっせとパンク修理。我ながら手早く修理できて、一応チャリダーの威厳は保てたかな?(笑) パンクだが、幸いなことにタイヤには傷一つ無く、どうやら勝手にチューブに穴が空いた模様。穴の空き方もリム打ちとか鋭利な物を踏んだ感じではなく、勝手に裂けた感じだったし。不良品か?こりゃ。 空気を入れたら簡単に穴が見つかったからその場でパッチを貼って修理。スペアチューブは使わずに済んだ。修理中は「へー、最近はゴム糊使わないんだ」とか、「その空気入れ(インフレータの事)、もう少し楽に入れられる構造にならないのかね?」とか、おじさんたちとチャリ談義をした。思えばこの旅の中で一番喋った気がする。 15〜20分ほどで修理を完了し、犬の散歩をしていた人々もほとんど帰っていった。そのあと、一人だけ残っていた散歩のおじさんとマッタリとした時間。 おしゃべりをするって感じじゃないが、時々質問されたり言葉を交わしたり。すごいゆったりとした時間が流れていった。相手が女の子だったら、きっと夕日の海とあいまって良い雰囲気だったんだろうな。シクシク。 6時をまわり、日もほとんど暮れた頃おじさんと別れる。別れ際に「がんばれよ、明日は雨だぞ」と言われた。そうか、雨か・・・。予想はしていたがいきなりとはね。ひとまず大浜公園の手前にある公園に東屋があったので、その下にテントを張ることにした。 ご飯を炊きながらぼーっと火を見つめていたら、まわりに野良猫が大量に集まってきた。俺の動きにいちいちびくびくしながらも、こっちの様子をうかがっている。俺の周りに円を描くように集まっているので、なんだか微妙な気分だ。俺は前の旅行記にも書いたが、野良猫や野良犬にはエサをあげないポリシー。でも、なんか鼻水垂らした病気っぽい猫もいて切なくなった。もし、元が捨て猫だったりしたら許せん。 あと10分ほどでご飯が炊けるかな?というときに、公園に一台の車が。あの低速走行+天井に何か着いている車と言えば、そう、夜回り中のパトカーだ。中からは20後半くらいの婦警と若い新人っぽい男の警官が出てきて、こっちへ向かってきた。 「こんばんはー」と当たり障りのない挨拶を向こうはしてきたが、明らかに不審者を相手にしている感じ。こりゃー「職務質問」ってやつですな。以下、記憶を頼りに再現。 警官二人:こんばんわー 俺:あ、どうも。 婦警:何してるの? 俺:飯作ってます。 婦警:なに、今日はここに泊まるの? 俺:ええ、野宿しながら旅してますから。隣の公園の東屋にテントでも張って・・と考えてますけど。 婦警:身分証出して。 俺:あー、免許証で良いですか?ちょっと待ってください。 (ガサゴソガサゴソ) 俺の思考:(このとき、急に棒きれか何かつかんで警官に向けたら驚くだろうなー。最近物騒だからね・・・) 俺:あ、ありました。はいこれ。 婦警:ふーん。○○市に住んでるの? 俺:いえ、違います。△△市です。 (免許証には本籍と現住所が記載されているが、婦警は本籍の方の○○市を挙げて「住んでるの?」と聞いてきた。免許証を一目見れば違うって事は分かるはずなのに・・・。どう考えても偽物じゃないか確認しているとしか思えなかった) 婦警:年齢はいくつ? 俺:□□歳です。 婦警:大学生? 俺:そうです。春休み使って旅してます。あ、学生証ありますよ。 (ガサゴソガサゴソ) 俺:はい、これです。ここの○年生です。 婦警:春休みか、いいねぇ。あたしは大学生だった頃のことなんか昔過ぎて忘れちゃったよ。 俺:いやいや、あははは(ヘラヘラと) 新人警官:あ、俺ここの隣の○○大学出身だよ。 (この後、しばらく俺の大学と○○大学について雑談。この時点で不審者ではないと認識された模様。と、ここでご飯が炊ける) 新人警官:おいしそうですね。 俺:まぁ、うまく炊けた方かなー。 婦警:まぁ、ここまではこないと思うけどこのあたりでホームレスとかが襲われたりしてるから、気を付けてね。あと、明日は雨よ。 俺:はーい。そいじゃー。 俺の思考:(気をつけろって、何をどうやって?一応ナイフくらいはありますが、折りたたみのツールナイフでコンバットナイフじゃねーしなぁ。まぁ、そんときゃそんときさ。) 二人:がんばってねー。 なかなか体験できない職務質問まで体験できるなんて、なんて野宿旅って素晴らしいんだろう!とは思わなかったが、特別とがめられるわけでもなく終わった。内心、警官が来たときは「追い出されるか?」とちょっと心配したのだが、問題なかった模様。中には「なぬ?貴様この先進国日本で野宿だと?怪しいヤツめ、ちょっと署まで来てもらおうか。クサイ飯でも食っていけ」って人もいるらしいから怖い(笑)。後になって、一緒に記念撮影をお願いすれば良かったと気づいた。まぁもう遅いわな。 夕食は俺の旅の定番、ご飯とカレーと粉末スープ。比較的おいしくできてナイス。ちなみにメニューは ・新潟の知り合いの農家から直送の魚沼産コシヒカリ(そんなもの持ってくるなよ(笑)) ・レトルトカレー 「カレー職人 スパイシーチキンカレー」 一袋100円 :クノール 「カップスープ つぶ入りコーンクリーム」 安売りで一袋あたり30円 ・公衆トイレの水道水 タダ だ。食材に色々と差がありすぎる気がするが、問題は無い。猫に見つめられながらの切ない夕食をカメラで撮ったのだが、完全にピンぼけしていて撮った自分でも良く分からない写真になっていた。このカメラ、基本的にはきれいに写るのだが、ときどきポカやるから困る。おそらく暗い状態で遠目に撮ったから、AFが効かなかったんだと思うけど。 さっさとご飯を食べて(というか、速く食べないとあっという間に冷える!)、7時を過ぎた頃に大浜公園の隣にある小さい公園の東屋下に移動した。明日は朝から雨らしい。ここなら、少なくともテントが濡れることは防げるだろう。ベンチで旅行記(この旅行記の元になっている詳細なメモ)を書いていたら、メールが着信。他愛もない内容だが、こういうときだとうれしい。 ↑東屋の下にテントを張り、いろいろと外に広げておいた物をテントの中とサイドバッグに片づけ、トイレで用を足したらごそごそとテントの中へ。このとき、時刻は20:30。家で生活していたら、夕食を終えてテレビでも見ているような時間だが、野宿旅にしてはかなり遅い方。日が暮れたら寝て、日が昇ったら行動開始が基本だ。 ↑一人用のツーリングテントだから、かなり中は狭い。シュラフを広げたらそれで終わりだ。やや大きめの冬季用だから足の部分は壁にくっつく。でも、布きれでできた華奢な構造物なのになんでこんなに落ち着くんだろうか。壁と屋根。人間の生活には必要なんだな、と実感するとき。 頭にヘッドライトをつけ、携帯を照らしながら旅用掲示板に書き込みをする。電池節約のためにキーとパネルの照明を両方ともOFFにしているのだがこれが使いにくい。ただ、通信を除くほとんどの電力消費は照明だから、照明をOFFにして必要なとき以外電源を入れないようにすれば4〜5日は軽く持つと思う。色々書きたいことはあったが、疲れていてまぶたは重いし、携帯だから打つのもめんどくさい。そんなわけで簡単な報告だけにして終わりにした。
その後高度計付き腕時計のログデータを書き写したり、今日の距離等を調べたりして、ある程度旅行記をまとめた時点で寝ることに。時間は9時。気温は10℃だ。 それにしても、いくらテント内が落ち着くとはいえ、それは外に比べて、の話。一人で野宿するのは初めてなので、正直内心ドキドキしていた。外で木々が擦れ合う音、ゴミ箱のビニール袋がかすれる音、落ち葉の音・・・・。静かな分いろいろな音が耳に入ってきて、しかもそれすべてが人間の足音に聞こえてくる。時々野良猫に「ニャー」なんてやられるからたまったもんじゃない。体はすごい疲れているから眠気はあるのだが、何か物音がする度にはっと目を開いてじっと聞き耳を立ててしまう。すぐにビニール袋の音には慣れたが、脇を通るサイクリングロードからジョギングの人と思われる足音が聞こえてきたり、ちょっと離れた道路で車のドアが開く音なんかが聞こえてきたりすると、もう不安で心臓は高鳴って寝るどころじゃなくなる。 ただ単に日本国内の公園で、ちょっと寝るだけじゃないか。別になにも問題はないし、危険だってあるはずはない。それは分かっているが、でも不安。それが最初の一人野宿の感想だ。 旅人はみんなやっている野宿。別にすごいチャレンジでもなく、どちらかというと当たり前の行為(一般人には当たり前じゃ無いけど)。そんなことでこんなにドキドキしている臆病な自分になんだか腹が立ってきたころ、急に「もう、どうでもいいや」と思えてきた。オーバーに表現すると、悟りを開いた感じ(笑)。「なるようになるさ」と考えていると急に落ち着いてきて、眠気に襲われて睡眠に入った。時間は10時過ぎだっただろうか。 初めての野宿は、こうやって過ぎていった。 走行距離 69.82km (累積69.82km) 平均速度 17.1km/h 最高速度 33.5km/h 純走行時間 4時間04分43秒 2日目 (03/02/16/日)編へ> |
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