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旅 TT250Rで行く! 北海道24日間の旅 |
■10日目(04/08/30)編 ◆寝付けなかった夜◆ 昨夜の夕食は「サッポロ一番みそラーメン」2パックを具無しで調理して食べた。途中で既に胸焼けがして嫌な予感はしていたのだが、夜遅くなるにつれて胃痛がひどくなってきた。元々風邪気味でイマイチ胃の調子が良くなかったのだがこれはひどい。 熟睡出来ずうとうとしていると午前3:50に。朝日が4:39に昇るので、最東端の朝日を見ようとみんなでモソッと起きた。俺も含めて皆寝不足だが、「最東端の朝日」の魅力には勝てない。無言で着替えて外へ出る様はさながらゾンビだった。 ◆見事な朝焼け◆ 俺の泊まったRH「鈴木食堂」は最東端の朝日を見るためのベースキャンプとして有名だが、もちろんそこ以外からも朝日を見るために大勢の人がここ納沙布岬(のさっぷみさき)へやってくる。ソロチャリダーも1人いて、なんだか懐かしさを感じた。 納沙布岬の灯台。空が明るくなってきている、日の出までもうすぐだ。 この灯台の向こう側が岬の先端。本当の最東端から朝日を拝むぞ。 岬の先端へ行ってギョッとした。なんだこの幽霊船は?! 聞くとロシアかなんかの漁船らしく、かなり前に座礁して(ニュースで油漏れとか話題になったらしい)そのまま放置されているのだとか。流れていかないよう岬とワイヤーで繋がれ、波に打たれてサビだらけの船体はまさに幽霊船だった。 そして日の出。息をのむほど美しい見事な朝焼けだった。 20年間生きてきた中で最高の朝日だった。座礁船も意外と良い味を出している。 背後の壁に映る影を見てください。本当に真っ赤でしたよ。 左にゴッツイ三脚と共に写っているのは(後で紹介しますが)同宿のプロカメラマン。テクニックと経験もさることながら、機材の値段も全然違います・・・ ところで、北海道にはここ「のさっぷみさき」と非常に良く似た名前の「のしゃっぷみさき」があり、非常に紛らわしい。一応下にまとめておきます。 納沙布岬(のさっぷみさき) 根室の東端で、北海道最東端でもある岬。 野寒布岬(のしゃっぷみさき) 稚内にあり、北海道最北端の宗谷岬から近い。最○○端というふれこみはないが、観光地化された宗谷岬と違って「最果ての地」という雰囲気が漂うので俺は大好きな岬だ。 ◆遠い買い出し◆ 朝日を充分に堪能した俺はプレハブ小屋へ戻り、今日の作戦を立て始める。明日31日は思いっきりここ根室に台風が直撃することは分かっていたので、ほとんどの人は停滞を決めていた。もちろん俺もその1人。 北上する今後の予定を考えれば、今日中に羅臼(らうす)まで急ぎ、そこで台風をやり過ごす宿を考えるのが効率が良い。しかし、根室と羅臼の間には俺が楽しみにしている「開陽台(かいようだい)」があるのだ。憧れ続けた開陽台・・・絶対に晴れでなきゃ嫌だ。 そんな訳で、何日停滞になろうが台風が過ぎるまでここ納沙布岬に居残ることを決めた俺は早速食料の買い出しのため根室市街へ向かうことにした。その距離、片道25kmである。まともな物を売っているスーパーへ行きたければ、往復50kmの道のりを走らないといけない。僻地と言う言葉がぴったりの納沙布岬だった。道は100km/hで走っても景色が遅く感じるほど何もないので時間はそんなにかからないのだが・・・。 根室市街に行けば大型スーパー「ポスフール」があり、生活するのに特別困ることは無さそうな感じだった。もっとも、何かと不便はあるんだろうけど。 ◆濃いキャラいっぱい、鈴木食堂◆ 根室市街で買い出しを終え、再び納沙布岬の鈴木食堂へバイクを飛ばしていると、昨夜一緒に鈴木食堂で寝て「今日は停滞する!」と言っていたSR乗りの人とすれ違った。買い出しかな?なんて思いながら鈴木食堂へ戻ると、彼は考えを変え、台風が迫る中先を急ぐことにしたらしかった。 北海道に1週間ほどしか居られないタイムスケジュールだったらしく、のんきに停滞していられないのだろう。 そんなわけで、夕方の時点でRH「鈴木食堂」に居るのは俺を含めて6人となった。この6人がまたそれぞれ濃〜いキャラで、俺の北海道ツーリングの思い出となっている。言葉で伝えきれないが簡単に説明してみよう。 「ルイ」さん カタカナでルイと書いて本名である。でも日本人。北海道へは電車でやってきて、トホダー(ヒッチハイクもする)で旅して回っているらしい。焼けた肌、伸びた髪、上下デニムという出で立ち。100ヶ国近く歩き回っている生粋の旅人。自分で葉っぱを紙で巻くタバコをスパスパ吸っていた。 「コウ」ちゃん 大卒後そのまま日本一周している旅人。ホンダAX-1に乗っていたのだが、後輪タイヤの溝が完全に無くなっていてビビった。本人曰く「雨の日走らなきゃ大丈夫だよ」。酒が大好きで朝から飲んでいる。そして飲みながら「僕もうダメだね、朝から飲んだくれちゃって」と何度も言う。ヘンリー・ミラーの「北回帰線」を読んでいてびっくりした。中島らも大好きらしい。 「ほず」さん プロカメラマン&DTP屋さん。日産マーチに一眼デジカメ等撮影機材とMacを積んで撮影旅行中。元SUZUKI隼乗り。バイクに乗っていた頃は隼でジムカーナやってたらしい。こえー 「トランザルフ」さん HONDAトランザルフ(やたらでかいオフロードバイク)に乗るアニキ。うまく言い表せないが・・・野生だった。 「I」さん HONDAレブルで北海道を旅する72歳のおじいさん。北海道10回目らしい。決して悪い人じゃなかったが、何度も同じ経験談(含む昔話)を話すので最後の方にはみんなに流されていた。めちゃめちゃ変わった人だったけど、その年で北海道を野宿旅するのはすごい。 「まごころ」 俺。 隅っこで体験談を語り続けるおじーさん。写真の話で盛り上がるほずさんとトランザルフさん 日も暮れてないのに飲んだくれるコウちゃんとルイさん。 人生の意味とか哲学的なことを二人で語っていた。 俺はこの間を行ったり来たりしながら仲良く過ごさせて頂きました・・・ハイ。 せっかくプロでやってるカメラマンさんがいるので色々カメラのことを聞いたりしていたのだが、撮った写真(デジカメだからMacで見れる)を見せて貰って驚き桃の木。上手とかじゃなくてやっぱり格が違った。技術、経験、機材・・・何もかも違いすぎた。 でもあれこれ聞くと色々答えてくれてなかなか勉強になったなぁ。 ◆暇◆ 話の尽きないメンバー達でだいぶマシだったが、やはりRHで停滞すると暇である。ここ納沙布岬には冗談抜きで何もないのだ。観光客向けの食堂と土産物屋が並んでいる程度で、暇つぶしの娯楽は何もない。コンビニも本屋もスーパーもなにもだ。 古いテレビがプレハブ小屋にあったが、つけても砂嵐しか映らない。管理人さんに聞くと「ああ、アンテナが風で壊れた」と一言。ああ、つまり見れないんですね・・・。 布団しかないハウス内。出来ることはゴロゴロすることのみ。 この壮絶なだるい空気を持ち帰りたかった。湿っぽいとは言え過ごしやすい気候なのが唯一の救いだった。 話に花が咲いては無言でゴロゴロしてを繰り返し、時刻は0時になった。眠くないが、状況を打開するためには寝るしかない。 風がどんどん強くなり、雨が降り始めている。台風は完全に直撃コース、明日は1日身動き取れまい。壮絶に暇なライダーハウスライフはもう1日続くのだった。 走行距離:53km(累積1374km) 出費:3104円(累積21286円) <前の日 一覧へ戻る 次の日> |
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