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 初のソロツーリング!静岡・愛知・三重自転車の旅

8日目 (03/02/22/土)編

朝5:30、携帯の電源ONアラームで目を覚ます。落ち着いて寝れた今日の野宿地だが、やはり外の様子は気になるのでテントのファスナーを開けて外をうかがう。

まだ薄暗い芝生の広場に人影はなく、風で防風林の木々がざわざわ言う音と、相変わらずの「グェッ グェッ」という鳥の鳴き声が聞こえるだけ。
最終日で先を急ぐ必要もないし、もう一度アラームをセットし直して二度寝に入った。

そして6時。再セットしたアラームで目を覚ます。10分ほどごろごろしてからテントを出る。鳥の鳴き声が聞こえ、微風が吹く、さわやかすぎる朝。思わず連泊してしまいたくなった。

今日は浜松駅まで15kmほど走るだけなので、何も急ぐ必要はない。朝から米を炊いてカレーを食べることにした。朝からカレー。普段は絶対食べられないが、なぜか野宿中だと食べられる。


↑朝っぱらから濃厚な食事。まぁ輪行で自転車担いで歩くわけだから、力つけなきゃね。


てきぱきと行動するいつもと違って、のんびりした朝というのも良いものだ。いつもより丁寧に食器を片づけたり、荷物を整理しながら詰めたりする。よく考えてみれば、わざわざ旅に出ているのに時間に追われた朝なんてナンセンスだよな。そんなの学校に行く日だけで十分だ。

テントを片づけたあと、ベンチに荷物をがばーっと広げて大整理を敢行。計4つのサイドバッグの内2つを宅急便で送り返すつもりなので、自宅についた後すぐに片づけが必要な物とそうでないものに分類する。食器類や衣類は手で持って帰ってすぐに片づけ、工具類は自転車に乗らないからいらない・・・みたいな感じだ。
旅の間は重量配分を考えて積んでいたから、こういう分け方をすると荷物の結構な大移動になる。

荷物の整理をしつつ、いらない物を徹底的に処分する。食料は食えるだけつめこみ、ゴミや包装類は一つにまとめた。竜洋海洋公園にはゴミ箱が見あたらなかったから、しばらく持ち歩いて荷物を発送するコンビニで捨てさせてもらうことにしよう。



↑荷物の中から歯ブラシを発掘し、歯磨き。それにしても汚ねぇ顔だなオイ!

よく考えてみれば、Yさん宅を出発してから歯を磨いていない。そういう余裕がなかった日もあれば、疲れが先に来て寝てしまった日も。時々地元の人と言葉を交わす以外はずっと一人でいるだけだし支障はないんだけどね。でも、やっぱり「清潔にしておかなければ」っていう意識があるかないかが野宿旅人とホームレスの違いなのかな・・・なんて思ったりした。

さて、歯磨きもして息リフレッシュ!
爽やか好青年まごころは、朝の浜松へと自転車を走らせた。時間は8時ちょっとすぎ。



↑俺が今まで野宿した場所(あまり多くはないが)の中で、一番安眠できたところ。あぁ、初日にここを教えてくれたおじさん、ありがとうです。

竜洋海洋公園を出発し、のんびりと自転車を走らせる。犬の散歩をしている人や、何の変哲もない住宅街を眺めるだけでもなぜか楽しい。歩くより速く、車より遅いスピード。心地よいスピード。
帰る直前になって、またどこまでも自転車に乗っていたい気分になってきた。

思い出してみれば、後半は進むことに躍起になっていてのんびり景色を楽しむことを忘れていたような気がする。特に渥美半島はひたすら漕いでいた記憶しかない。天候の関係で急いでいたのもあるが、先を急ぐ旅路は良いことがないな・・と実感した。


走りながら今後の計画を立てる。
1)まずどこかのスーパーかなにかで段ボールを手に入れる。
2)どこかで荷物を詰めて、コンビニに行き発送する。
3)駅まで行ってMTBを輪行袋に詰めて新幹線で帰る。
という感じだ。
だが、最初っから問題発生。「野宿旅中は早起きになってしまう症候群」のため、まだスーパーが開いていないのだ。仕方ないから「持っていってください」って感じで段ボールを山積みしている商店を探してみるが、駅前はそういうところもあまり無い。結局1時間ほど浜松周辺をさまよいまくる。こうなったらコンビニに突入して、「段ボールくれ!」というしか無いかな・・・と思い始めたら、開店準備中の乾物屋さんらしき店の脇で、空の段ボールをつぶしている人を見つけた。

おお、手頃な段ボールが今にもつぶされそうになっているではないか!躊躇するヒマもなく、「スイマセン、その段ボール箱いらなければいただけませんか?」と声をかける。つぶしていた人は分からないらしく「ちょっと待ってください」と店内に入っていった。しばらくして店主っぽいおばさん(おねぇさん?)が出てきて、送り状などをはがしてから箱を渡してくれた。朝の忙しい時間に手間をかけさせてしまったかもしれない。


↑中央の「のり」の箱に目をつけた。つぶされる直前を救出。のりが入っていた箱にしてはやたら丈夫で驚いた。薄い段ボールを2枚張り合わせた強化仕様で、ずっしり重い。宅急便の料金が値上がりするかちょっとだけ気になったが、せっかくいただいたんだし、使うことにした。

まず隣のビルの隙間にチャリを押し込み、道路向かいにあるコンビニへ送り状をもらいに行った。帰ってくると、店主っぽい人と目が合う。「あら、送り状ならあげたのにー」と。いえいえ、そんな図々しいことは言えませんよ。

急いでサイドバッグを二つはずし、段ボール箱に入れる。隙間にうまくシュラフとテントを詰め込んだあと、ちょうど良い大きさになるよう愛用のビクトリノックスで箱を整形した。やや厚みのある刃だから切りにくい。カッターナイフがいかに優れた刃物であるかを痛感した。
乾物屋の店員の人と、お互い作業しながら会話する。やたらと「若いわねー」と言われ、また芯を抜いてつぶしておいたガムテープを見て「用意が良いわね」としきりに感心された。
写真を撮るのを忘れた(というか、狭いところなので急いで作業した)から写真がないが、手早くパッキングを終えて荷物に封をし、送り先を書いてコンビニへ持っていく。かなりの重さだが、1270円で済んだ。

切った段ボールの切れ端は自分で処理しようと思っていたのだが、店の人が「それいらないんだったら片づけるわよ」と引き取ってくれた。何も買ってないのに、うう・・・、ありがとうございます!


↑だいぶすっきりしたMTB。

乾物屋の人たちにもう一度お礼を告げ、いざ浜松駅へ。荷物をだいぶ下ろしたから、恐ろしく自転車が軽い。加速力が圧倒的に違う。まぁ今まで重い荷物を積み過ぎていただけなんだけどさ。

浜松駅へ着いた後、ふと腹が減っていることに気がついた。時計を見るともう11時だ。どうせ俺のことだから車内で弁当を買ったりしないんだろうから、なにか食べておかないとひもじい思いをするだろう・・と食事をとれるところを探す。吉野家かマクドナルド系の店を探してみるが、探しているときに限って見つからないのがこの類の店。ファミレスもランチタイムまでもう少し先だしなぁ。


↑仕方ないのでコンビニでパンを買って食べる。立ち食いももう慣れた。食べているのは「大きなメンチカツ」というパン。このパンには数種類あり、俺が覚えているだけで
・大きなメンチカツ
・大きな麻婆なす
・大きな○○グラタン(詳細忘れた)
がある。100円ちょっとでかなりのボリュームがあるので、俺は好き。ちなみに上に挙げた中では麻婆なすが一番好きだが、なかなか売っているところを見ない。

食べ終わった後、再び浜松駅へ。
自転車を降りて、輪行袋を取り出した。今まで乗ってきた自転車を眺め、これでこの旅も終わりか・・とひとり感慨にふける。実売7万円前後でサイドバッグ4つ付属というこのMTBはかなり安い部類で、ついているパーツもかなりショボイ。でも、やっぱり愛着があるせいか、すごいかっこよく見えてしまった。パンクというトラブルには見舞われたが、大量の荷物と俺を乗せて色々走ってきたんだから、まぁ安物とは言え良くやってくれている。

色々考えつつも、素早く手を動かして輪行の準備に入る。


↑フロントキャリア、ペダル、サイドバッグ、泥よけを取り外す。こうやってみるとゴツイこのチャリもなんだかスリムに見える。いままでが重装備過ぎただけだけど。

作業をしていると、あまりガラの良くないスーツ姿の男数人と、新入社員っぽい出で立ちの男がやってきて、いきなり「声だし」みたいなことをやり始めた。「サ行の発音」とかを新入社員の方がやらされていた。ちゃんとした仕事なら良いのだが、借金取りとかヤバめな仕事でないことを祈る限り。


↑前輪をはずしてハンドルを90度曲げ、輪行袋に押し込む。後輪をはずさないタイプの輪行袋だからリアディレイラーの保護とか色々考えないで済む。
この輪行袋、「ほとんどのMTBなら入ります」と書いてあったから買ってみたが、普通に俺のMTBだと入らなかった。まぁそれは自宅でテストしたときに判明していたことだから、焦らずに作業を進める。
入れ方に工夫して後ろのファスナーをなんとか閉めるが、どうしてもリアのキャリアは出っ張ったまま。まぁ袋に入っている以上問題はないが、何となくすっきりしない。
輪行袋ってのはサイズを見ても「まち」が考慮されてないから何とも言えないし、難しいね。

サイドバッグ二つはベルクロで合体させ、ロープでショルダーベルトを作る。これで出発準備は完了だ。忘れ物を確認して、緑の窓口へ。
さすがに中へこれを持ち込むのは迷惑だから、近くの柱にMTBだけは立てかけて中に入る。まず盗られることはないだろうが、中からずっと目を離さないでおいた。

浜松→小田原までの新幹線自由席の切符を学割で買う。4,760円だ。それにしてもこの学割の制度は非常に良いと思うのだが、実際に旅行の時に使っている学生って何割くらいなんだろうか。フェリーの時もそうだが、試しに聞いてみると意外なところで使えたりするから、学生で旅をする人は必携ですよ。

もう浜松に思い残すことはない。右に輪行袋、左にサイドバッグ、腰にヒップバッグを担ぎ、新幹線のホームへ向かう。自動改札の障害者用通路がありがたい。大荷物を持ったときは、「バリアフリー」というのがどういう目的で作られているか、なぜ必要かをひしひしと感じる。「車いすに乗って街を移動してみよう」というような教育を中学校くらいでやると、効果的な気がした。

ホームに行くと同時に新幹線が到着した。出来れば浜松の新幹線ホームで写真を撮りたいと思っていたので、それに乗るかは少し悩んだ。でも、次の電車は50分後・・・。ええい、乗ってしまえ!と乗車した。
大きい輪行袋の置き場所に難儀したが、ひとまずデッキの手すりにくくりつけておいた。若干通行の邪魔になってしまうが、仕方ないだろう。一番ナイスな三列シート最後部は、すでに乗っている人がリクライニングしてしまっているのでダメだった。

空いている席を見つけて、腰を下ろす。と、同時に電車は駅を出た。
新幹線はどんどん加速してゆく。何日か前に渡った橋や、見たことのある風景が次から次へと見えてきては後ろに流れていった。自分の旅路のダイジェストを見ているような、不思議な気分になる。
皆が駅で買った弁当を広げて食べる中、俺が食べたのはいつも通りのチョコチップスナックとペットボトルに詰めた水道水だった。

地理に疎い自分なので、時々停車する駅名を聞いても現在地がどこだかさっぱり分からない。目的地の小田原に何時に着くかも分からないので、おちおち寝てもいられず、ずっと景色を眺める。

暖かい車内で席に座っているとかなり眠気に襲われて大変だったが、13:35分に小田原に着いた。何日もかけて走ってきた道のりだが、新幹線だとあっというまの1時間30分。たった1時間30分か・・とも思うし、逆に新幹線で1時間30分もかかる距離か・・とも思う。複雑な心境だ。


↑浜松12:04発こだま408号東京行きが小田原駅に到着。自宅までもうすぐだ。


小田原からは小田急線に乗り換え、自宅の最寄り駅で下車。さすがにこの荷物を自宅まで運ぶのはキツイので駅前の友人宅にいったん預けて自宅へ帰り、車で取りに来ることにした。家に帰るとそのまま寝てしまいたい衝動に駆られたが、急いで車のキーだけを取り、久しぶりに車に乗る。

そして、荷物を運び終えて車を駐車場に戻し、14:30に自宅到着。長いようで短かった旅はこれで終わった。
PCから掲示板に書き込みをする。

by まごころ
本日午後、無事に旅から帰ってきました。
今は自宅のPCから書き込んでいます。1週間ぶりのデスクトップはなんだか懐かしい感じがします。

携帯ゆえ、個別に返事ができなくて申し訳ないです。
書き込んでくださったみなさん、どうもありがとう。
初めてのソロツーリングで結構寂しかったけど、携帯で掲示板見るとほっとしました(笑)

旅行記、写真ができたら早速書きますね。お待ちを!(まずは車旅の方をUPしなきゃ!)


>>野宿営業マン さん
>たまにこのH.P.のぞいてるものですから
そういう方がいたなんて! 感激してます(笑)
これからもちょくちょく見に来てやってください。
本家掲示板もよろしく。

..2003/ 2/22(Sat)17:44

帰った後は、風呂に入ったり洗濯物を洗濯機につっこんだりとあわただしく作業をし、普段より早めに布団に入った。

8日間563kmの旅。あまり長いとは言えないが、雨が降ったり強風に見舞われたりとイベント盛りだくさんの旅だった。一人ゆえ寂しさを感じることもあったし、逆に気ままで良かったと思うこともあった。
それにしても、帰ってきたばかりなのにもう次の旅へ出発したいと思ってしまう俺は中毒かもな・・・。

そんなことを考えながら、久しぶりの布団で体を伸ばす。やっぱり、いつも寝ている布団が一番寝やすかった。

〔終〕

走行距離 17.16km (累積563.79km)
平均速度 13.0km/h
最高速度 27.4km/h
純走行時間 
1:18:21

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