TOP野宿旅TT250Rで行く! 北海道24日間の旅

 TT250Rで行く! 北海道24日間の旅


■20日目(04/09/09)編

◆台風一過◆

朝5時ごろ他の人の動く音で目覚めるが寝なおし、6:30頃に行動開始した。外を見ると台風一過の晴れ。昨夜は風が特にすごく停滞して正解だったようだ。コンビにおにぎりで朝食とし9時ごろ出発した。

今日はSRさんお勧めの積丹岬へ向かうことにし、あまり通りたくないが札幌を通って一気に西へ進むことにした。



なんだかんだで世話になった「宝来」に別れを告げる。
今日は快晴。走るぞ!


◆旧住友奔別炭鉱◆

走り始めて1時間ほどしたころ、芦別あたりだっただろうか、急に大きな鉄骨のやぐらが見えてきた。何かな?と思って道を逸れ、近づいてみるとどうも廃炭鉱のようだ。初めはやぐらの部分しか見えなかったが建物自体が見えてくるとその迫力はすごく、バイクを停めてカメラ片手に建物へと近づいた。

敷地は現在他の会社の土地となっていて、普通に従業員が出入りしていた。その辺りに居た社員さんに写真を撮らせて欲しいと伝えると「いいよ」と快諾してくれた。



めちゃくちゃでかい。やぐらの高さは50.52mあるそうだ。やぐらの下には深さ750mの立抗が続いている。当然閉山しているので入り口は固く閉ざされているだろうが。


この住友奔別炭鉱は1971年に閉山したが、立抗をふさぐ閉山作業中にガス爆発を起こし建物の外壁を吹き飛ばしたらしい。近づくと爆発の影響で曲がったと思われる鉄骨が目に付く。従業員にも死傷者が出ているようだ。

坑道は最深部で1100m。そんな大深度地下に一度は行ってみたいものだ。かなりの暑さで劣悪な環境らしいけど・・・。



青空と対照的に錆びた鉄骨がいい感じ。


一通り眺めてから出発すると、すぐ近くに「変電所跡はこちら」という感じの看板が立っていた。鉱山に付随する変電設備の跡らしく、案内があると言うことは観光地化されているのだろうか?興味があるのでそちらへ向かう。

向かう途中、確かにトロッコ列車などの展示はあったが肝心の変電所跡は見えてこない。心配になりながらどんどん先へ進むと道はダートになり、ほとんど林道状態となったとき古いレンガ造りの建物が見えてきた。



夜中にきたら絶対怖いであろう建物。昭和初期の匂いがします。



完全に自然と一体化し、「天空の城ラピュタ」状態の変電設備。時の流れを感じる。


神社と言うか社(やしろ)?のような施設も一緒にあったのだがそれもまた朽ち方がすごかった。



もはや自然に還りつつある石段。歩きにくい。



沈殿槽のような設備。こんな廃墟で落ちたり怪我をして動けなくなったら冗談抜きに命にかかわる。草が茂って足元も分かり辛く、細心の注意が必要だ。


◆タイヤで悩む◆

しばらく古い建造物に見とれていたが、今日は日が暮れる前に積丹へ行きたい。ある程度写真を撮り、先へ進むことにした。

札幌市内へ近づいたところでバイクを停め、事前に調べておいたバイク屋へ電話をかける。バイクの前輪タイヤがもうほとんどツルツル状態で、もし東北を自走して帰るとなるとタイヤ交換が必要だった。
ただ関東価格より確実に高いであろうこっちの値段の問題と、サイズの合うタイヤが在庫しているかも問題なのだ。

しかし数件問い合わせをしてみるが、どこも在庫無しか有っても恐ろしく高価でこちらで変える値段の4〜5割り増しもざら。東北はまたの機会に取っておくことにし、タイヤは換えずこのまま旅を終えることにした。


◆積丹は異様な雰囲気◆

札幌や小樽の市街地を走行していると折れた街路樹が目に付く。2度目の台風の被害はかなりのものだったらしい。この時点で海岸線にある観光名所はあきらめておくべきだったのかもしれないが、俺は特に気にせずバイクを走らせた。

もし新聞を買うなりして情報を集めれば、積丹半島で橋が落ちたことくらいは分かったのだろうが・・・。


タイヤ交換で悩んでいたため遅くなり、積丹半島の入り口である余市(よいち)に着いたころには日が暮れ始めていた。積丹の海岸線沿いには野営場や温泉などがあるので今日はそこで泊まり、明日観光をしてから函館方面に抜けるかなぁ・・・なんて考えていた。

この時点では台風の被害のことなど頭に無かった俺だが、ちょっと腹がすいたので途中のコンビニへ寄って驚いた。弁当やおにぎり、パンなどをはじめ、そのままもしくはちょっとした調理で食べられるような食料がすべて売り切れていたのだ。入荷のトラックがまったく来ない上に、停電の影響で需要がすごいらしい。

むむむ、、、ひょっとして観光なんかしている状況ではないのだろうか?
ひとまず米は売っていたので1kgの袋を買って店を出た。



え・・・信号が消えてる・・・。
さすがの俺も心配になってきたが、もう日は暮れている。とにかく泊まる場所を見つけるため先へ進んだ。あちこちで電柱が折れて転がっていて、尋常じゃない雰囲気だ。


積丹半島を一周するR229は海岸線ぎりぎりを走る道なのだが、街頭や家の明かりが完全に消えているため月明かりが照らすのみ。台風一過の強風で海からは波しぶきが飛んでくる。トンネルなど電気がついていないから完全な暗闇で、まるで宇宙空間をさまよっているような感覚になる。

とにかく心細くて、このときほどたった250ccのエンジンと60Wのヘッドライトが頼もしく思えたことは無かった。


必死で走っていると、路面がびしょびしょになっていることに気づく。なんだ?と思ってバイクを止めて辺りを見回すと高波が押し寄せて道路まで達しているではないか!も・・・もしかして俺今すごくやばい?!

焦って地図を見直すと、目指していた野営場を2kmほど行き過ぎていたようだった。その場でUターンし、また必死で走ると路肩にポツンと明かりが見えた。その光に誘われてそこへ向かうと、一台のバイク。あれ?と思って調べると、そこが目指していた野営場だった。このバイクが居なければ見つけられなかっただろう。



完全な暗闇の中、LEDヘッドライトの明かりを頼りにテントを建てた。この写真が実際の視界とほぼ同じ状態。


テントを建てていると、一人のチャリダーが近くでテントを建てていた事に気づいた。話しかけると大学生のようだ。自炊はしないタイプのようで、この状況下で食料が手に入らず携帯食を食っていた。たまたまさっき米を買ったばかりだったので、余分に1合炊いて分けてあげ、飯を食いながら旅やRHについてあれこれ話をした。


携帯電話はエリアマップだと圏内のはずが圏外表示。おそらく停電で基地局が死んでいるのだろう。とにかく明かりが無いと行動できないし、今日は早く寝よう・・・。

寝る前にトイレに行くと、用を足した後水が流れない。センサを使って電磁弁を駆動するタイプのようなので、停電だと動作しないのだ。
無くなってはじめて分かる普段の生活の便利さを痛感した日だった。



走行距離:254km(累積3133km)
出費:4757円(累積56299円)



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