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 03'夏ツーリング 北海道→鳥取 自転車野宿一人旅


■1日目(03/08/21/木)編

初日の朝は午前4時起床だった。
羽田→稚内の最初の便は9:35発だから本来はこんなに早起きする必要はないのだが、なんせ予約の出来ないスカイメイト。空港まで重い自転車を担いで行って、「満席です」では悲しすぎるからなるべく早くに空港に着きたかった。ちょっと眠い目をこすりつつ、朝食にバナナなどを適当に食って出発。

前日に両親に「明日早いんでしょ?寝てるから起こさないでね」とか切なすぎることを言われたので、そーっと家を出た。これから大旅行に出るというのに、寂しい出発だ。
家から駅までは10分ほど歩く距離なのだが、前日のうちに駅前に住む友人宅に自転車を預けておいたので駅までは手ぶらで行くことが出来た。あんな重いもの、100m以上運ぶ気にならん。

俺の家の最寄り駅は最近バリアフリー化が進み、エレベーターが設置されている。これ幸いとばかりに利用。重い荷物を持っているときは「バリアフリー」のありがたみがよく分かる。


↑誰もいない静かなホームで始発電車を待つ。不安とワクワクが入り交じる、不思議な気分だ。


始発に乗って順調に乗り換えをこなし、ラッシュにも遭わず約2時間後に羽田空港に着く。急いでチケットカウンターに行き、羽田発稚内行きの最初の便のチケットが空いているか調べると「残席:残りわずか」との表示。ギリギリセーフですな。スカイメイトを使って25,350円でチケットをゲット。多客期だからスカイメイトの割引率が低く割高なチケットではあるが、正規料金だと40,000円近くする航路だし、仕方ないと考えるべきだろう。
出発は9:35。あと2時間以上待つことになる。さっさと搭乗手続きを済ませ、ターミナルでテレビなどを見て時間をつぶした。



↑朝の羽田空港をターミナルからぼーっと眺める。俺が乗るのはどの飛行機だろうか。


暇つぶしに各社の機体の違いなどを観察していると、AIR DOの機体にこう書かれていた。

「一歩前に出る勇気が有れば、きっと何か始まる。 試される大地 北海道」

なんだか自分に言っている気がしてしょうがなかった。試される大地・・・。響きがカッコイイが、これからやろうとしていることが決して楽じゃないことを再認識させられた。今回、俺はどこまで走れるんだろう。すぐに帰ってくるようなことにならないだろうか。最近自転車なんてろくに乗ってないのに大丈夫なんだろうか・・・。色々な不安が頭をよぎるが、あまり気にしないことにしてテレビから流れるニュースを見ていた。



↑突然ロビーがうるさくなり始めたと思ったら、次から次へと小学生位の少年少女の集団がくるわくるわ!皆「フレンドシップ2003」と書かれた帽子をかぶっている。夏休みの体験学習か何かだろうか。機内がうるさくなりそうだ。


やがて搭乗開始となり、俺も乗り込む。この便の乗客の大部分が上の小学生集団らしく、一般客はあまりいなかった。俺は窓側の席だったが、隣の通路側の席は結局空席だった。小学生集団は機体の後ろの方に固まっているので俺と離れていて、うるさくなくて良かった。

9:35に無事離陸が済み、水平飛行へ移った後機内サービスが始まった。距離があるので2時間近い飛行となり、後ろの方まで機内サービスが行き届く。


↑フライトアテンダントさんに写真を撮ってもらう。自分、飛行機好きです。

写真を撮ってもらうと、フライトアテンダントさんに話しかけられた。
フ「一人旅ですか?」
俺「はい。自転車で北海道から南下する予定です」
フ「利尻や礼文には行かれるのですか?」
俺「いえ、ひたすら南を目指して走り続けるつもりです」
フ「期間は?」
俺「最大一ヶ月ですね。」
フ「日焼けに注意してください。頑張ってくださいね」
俺「ありがとうございます」

という感じ。いきなりきれいなおねぇさんに話しかけられちゃって、ちょっとウキウキの俺だったりした。


やがて着陸間際になって、フライトアテンダントさんが俺の所に来て、メッセージカードと一緒に手のひらくらいの大きさの袋いっぱいに詰めた飴をくれた。「これ、メッセージカードと飴です。お腹空いたらなめてね」だって。うっひゃー!なんだかさい先良いですよ!これは!


↑いただいたメッセージカード。内容は公開するようなものじゃないと思うから伏せました。応援が書いてあって、すごい嬉しかった。


やがて飛行機は高度を落としはじめ、着陸態勢に入った。高度がどんどん下がり、窓の外をすごい早さで雲が通り過ぎていく。「旅か・・・」と思わずつぶやいた。旋回時にちらっと見えた稚内空港は、原野の中にぽつんとある、なーんもない空港だった。

飛行機から降りて機内預けの荷物を受け取るためベルトコンベア前に行くと驚いた。コンベアが一つしかない・・・。後から分かったが、稚内空港はANAのみしか運航していなく、かなり小さい空港なのだった。自分の荷物が回ってくるのを待っていると、足下に財布(がま口)が落ちていることに気が付いた。拾い上げて中を見ると小銭以外に小さく折りたたんだ1万円札が入っている。これはかなり高額の落とし物だ・・・!!
回りに探している人も見あたらないし、ネコババしてしまえばかなりの収入・・・、なんて悪魔のささやきも聞こえたが、逆の立場を想像するとそんなことはとても出来なかった。
回りは例の小学生集団でごった返しているので、小学生の落とし物かな?と思い監督者らしき人に「これ、小学生達の落とし物かもしれません。あとで聞いてもらえますか?違ったらANAの方に渡して頂けるとありがたいのですが・・・」と言い、預けた。あの財布、無事持ち主の元に戻ることは出来たのだろうか。


預けていたサイドバッグと自転車を受け取り、空港の外へ。初めての飛行機輪行だったので破損が心配だったが、リアディレイラーを取り外したり緩衝材で巻いたりと完全防備しておいたので損傷は全くなかった。物珍しそうに見てくる小学生達を尻目にせっせと自転車を組み立て、出発準備完了。



組み立てた自転車を稚内空港の碑の前で記念撮影した後、さぁ出発だ!


颯爽と稚内空港の駐車場を出て、道路に出る。「よっしゃー!宗谷岬までまずはひとっ走り!」と思ったが、いきなり道が分からない。コンパスを頼りにすれば大丈夫そうな気もしたが、出発早々に逆送は嫌だったので駐車場に逆戻りし、タクシーの運転手さんに道を聞いた。

空港から宗谷岬まではかなり強力な追い風。ちょっと漕いだだけで30km/hはでる。ヒャホーイ!と漕ぐものの、数時間後に逆方向に走ることになるのが分かっていたので素直に喜べなかった。

出走開始から数分後、初めてライダーさんにピースサインをされた。おお!これがかの有名な挨拶か!感動して力一杯こっちも手を振る。
と、次の、またその次のライダーもこっちに挨拶をしてくれる。初めは「何回挨拶されたか数えよう」と頑張っていたのだが、10回を過ぎたあたりからは無駄かと思ってやめた。それくらい北海道ではすれ違う旅人同士の挨拶が盛んだ。やり方も、オーソドックスなピースサインから、サムアップ、手を振る、両手を離して踊る(!)など様々。早速北海道ツーリングの醍醐味を味わってしまった俺だった。


稚内空港から宗谷岬までは約20kmあるのだが、追い風の力を受けて1時間程度で到着。観光客などでごったがえす宗谷岬は、なんだかちょっとだけイメージが違った。それに「岬」という割には海岸線にぽつんとある感じで、「ん?ここがそうなの?」が最初の感想だった。

もちろん、みんな宗谷岬の最北端の碑の前で写真を撮りたがるから写真撮影の列が出来る。ちゃんと順番を守って撮影していくなら全然問題ないのだが、観光バスで押し寄せるオバサン軍団や熟年旅行者達はそんなのお構いなし。人の写真に入るは、順番を無視して写真を撮りまくるはでもうマナー無視も良いところ。回りの状況を全く見ていない。


↑そんな中、何とか撮影に成功した宗谷岬の最北端の碑。これは自分で三脚を使って撮影したもの。人に頼んだヤツは前述のオバタリアンが入り込んでいたり、構図がメチャクチャだったりとNGばっかりだった。


その後宗谷岬にある土産物屋で絵はがき、宗谷岬の旗、最北端到着証明書(買ってしまった(笑))を買い、絵はがきはその場で発送した。宗谷岬の旗はこの旅のゴールで一緒に写るつもりで購入。

今回の旅はここが真のスタート地点。しばらく宗谷岬を眺めて感慨にふけった後、元来た道を引き返しノシャップ岬を目指すことにした。


↑すごい向かい風の中、西へ進む。結構頑張って漕いでいるのだが10km/hちょっとくらいしか出ない。向かい風は漕いでいるのに前に進まない感じがして、上り坂よりたちが悪い。


途中のコンビニ(北海道最大手のセイコーマート)で昼食を取り、ひたすら向かい風の中を漕ぐ。「来て早々ひどいコンディションだな!」と思ったが、この旅がひたすら向かい風との戦いになるとは、このときはまだ分からなかった。



↑3時間ほど走り、稚内郵便局に局留めで送付しておいた荷物の受け取り。前サイドバッグ二つとテント、シュラフだ。他にも機内持ち込みの出来ないガスボンベも一緒に送っておいたのでそれも受け取る。荷物を取り付けた後、「ぬぉ、そう言えばこの段ボール箱どうしよう」と思ったが、郵便局の人に頼んだら引き取ってもらえた。良かった・・・。
階段の上に同じメーカーGIANTのロードレーサーが止まっていた。結局持ち主は俺が出発するまで現れなかったけど。



↑そしてノシャップ岬到着。ここはなんか宗谷岬と違って「最果て」って感じのする良いところだった。


時間はすでに6時近い。到着がお昼だったからあまり走ってないけど遅くなってしまったな。さて、今日はどこで寝ようか・・・。途中で18切符の旅をしている二人組に出会い、「今日はどこで寝ますか?」と聞くもあまり良い情報は得られず。
ちょっと進んで温泉に入って駐車場かどこかで寝るか、それとも稚内の駅まで戻って駅寝をするか・・・。しばし悩みながらツーリングマップルを見ると、ライダーハウスが近くにあることに気が付いた。おお、ライダーハウス!北海道にあるライダー向けの安宿だ。今まで利用したことはないけど、初日で疲れているし、いっちょ行ってみますか!と自転車を走らせ、数分後ライダーハウス「サガレン」を発見した。

無料シャワーとガレージ付きで一泊1500円。ライダーハウス(以下RH)にしてはちょっと高めの料金だが、お金を払って入る。(後から分かったが、設備の綺麗さや大きなガレージを考慮すると妥当な値段である)

お腹が空いたのでガレージで自炊をしカレーを作って食べているとバイクの人と車の人が一人ずつやってきた。
一人はXR-BAJA乗りの斧だ!広尾大佐さん、もう一人は四駆のテラノ(だと思う)で旅をしているAさん。Aさんがカニを近くの市場で買ってきたらしく、おごってくれた。おお、初海鮮!カレーを食べた直後だったし旅を初めて間もない頃だったのでお腹がいっぱいだったが、味見程度に食べることが出来た。

3人それぞれ約10歳ずつ年が離れていて、昔や今の北海道の話等をして盛り上がる。俺はライダーハウスが初めてだったのでこんなものかと思っていたのだが、どうやら客が3人というのはかなり少ない部類らしく、他の人は「なんだか寂しいねぇ」と言っていた。


↑左から斧だ!広尾大佐さん、俺、Aさん。RHサガレンにてカニを食いつつ撮影。

住所やメルアドを交換し、東京在住のAさんに「いつか家に来いよ〜」と言われる。食べに連れて行ってくれるそうだ(笑)
適当な時間にお開きとなり、個室(500円高い)を取っているAさんは部屋を出て行った。明日はゆっくり寝るそうなので、早くに出る俺とはここでお別れ。おやすみなさーいと挨拶をする。

俺は寝具持参の相部屋で入ったので自分のシュラフとマットを出す。俺の「アルティアック・エアマット」と「モンベル スーパーストレッチバロウバッグ#4」という組み合わせが斧だ!広尾大佐さんとシュラフの色以外は全く同じだったので驚いた。ありがち妥当な装備を選んできたと言うことか。

何時に寝たかは記録を残していないので分からないが、初日の疲れもあり、寝付きは早かった。いまいち体調がぱっとしないが、1週間くらい頑張ってみて様子を見よう・・とこのころは考えていた。結局3週間の長旅になるが、このときはそんなに長く走れるとは思っていなかった。


走行距離:63.24km(累積63.24km)
走行時間:3:59:21
平均速度:15.9km/h
最高速度:34.0km/h




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