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雑記 24年前のポジフィルム


先日、部屋を片付けていたら小学生の頃にハマっていた顕微鏡セットが出てきた。子供用にしてはなかなかしっかりしていて、投光器や写真撮影用の器具までそろっている物だ。なんとなく懐かしくなって箱を開けてみると、隙間から一枚のポジフィルムが出てきた。






しばらく何の写真だか悩んだが、あれこれ考えていたら記憶がよみがえってきた。
多分自分が小学校の3、4年生の頃だったと思う。小学校の校庭で遊んでいたとき、砂利の中に何かを見つけて拾ってみると、それはスライドのフィルム(ポジフィルム)だった。当時の自分は「現像されたフィルム=色の反転したネガフィルム」だと思っていたので、肉眼で見える通りの色合いで写っているそのフィルムに強い興味を持った。一瞬迷ったが、拾っても誰かに届けるわけにも行かないし・・・と、ポケットに押し込んだのを覚えている。

そのころ、理科の教科書を暗記してしまうほどの大の理科少年だった自分は、それを家に持ち帰り、両親に買って貰った顕微鏡で覗いてみたかったのだ。光に透かすだけでは見えない細かい部分になにか「謎」がありそうな気がして、探偵気分になりたかったのだろう。

学校から帰った自分は早速顕微鏡を取り出してポジフィルムをセットし、ちょっとわくわくしながら接眼レンズを覗き込んだ。だが、自分の持っていた顕微鏡の最低倍率は75倍。拡大率が大きすぎるのと、光量が足りなくて暗くしか見えなかったので、すぐに飽きて顕微鏡の箱に入れたまま何年間も忘れていた。今回はそれを見つけたわけだ。


まだそんな歳でもないが、幼き頃の思い出に浸っていたらふと思いついた。最近買ったフィルムも読めるスキャナで読み取ってみれば、当時の自分が見つけられなかった「何か」が見つかるんじゃないだろうか?と。幸いなことに、フィルムはかなり傷だらけになっているもののハードな保存環境にも負けず色の変化やひび割れなどしていない綺麗な状態だった。

早速スキャナの電源を入れ、適当な解像度で読み込んでみたのが、この写真だ。






被写体に断り無く勝手にWeb媒体に載せる事には少し迷ったが、後に述べる理由からモザイク処理をしたりはしなかった。写真はごらんのとおり。タイヤ山で遊ぶ小学校4年生くらいの少年少女の写真だ。自動補正によって情報が失われるのを懸念して、ゴミ傷自動修正はOFFでスキャンした。

日に透かして見るよりずっと精細に見えることにしばらく感動していたが、この風景、どこかで見たことがある。一生懸命記憶をたどると、これを拾った自分の母校であるI小学校の校庭であることに気づいた。なんで今までこんなことに気がつかなかったのだろうか。少なくとも写っている人物に心当たりは無いが、倉庫や体育館の配置、右端に見える水飲み場など、ほぼ間違いない。

卒業アルバムを引っ張り出して来て、校舎の配置を確認していると、画面左下に文字のようなものが写っている事に気づいた。これは多分カメラの日付機能ではないだろうか。拡大して画像処理をして、読み取りやすくしたのが以下の写真だ。




79 12 18 と読み取れる。



79 12 18・・・。 1979年12月18日だろうか。あまり寒そうに見えないので12月というのは合っているか確信できないが、1979年というのには気になる。もし正しい年月日がカメラに設定されていたのなら、この写真は2003年現在24年前の写真ということになる。本当にそうなのだろうか。

自分の結論は、「少なくとも西暦は正しいと思う」だ。この写真をモザイク等無しで載せた理由も、それだけ古い写真と判断したからだ。

まず、この遊具であるタイヤ山。少なくとも自分が小学校に在学していた間に校庭に存在した記憶は無い。当時完全な「モヤシっ子」だった自分は校庭で遊んだことなどほとんど無かったが、毎日一人で登下校する時に眺めていた校庭にこれがあった記憶は無いから確かだろう。つまり、この写真は自分が入学する前に撮られたものであることは間違いない。

調べてみると、このI小学校の創立は1972年。自分がこの学校に入学したのは1990年だから、1972〜1989年の間に撮られたものであると考えられる。小学校を卒業してから何年も経ってしまい、詳細を思い出せなかったので散歩がてら小学校に行ってみる事にした。

早速自分が登校に使っていた門へ行くと、扉が閉まっていて施錠されている。しかたなく正門に回ると正門も閉まっていたので職員用の通用門より中に入った。児童殺傷事件などを受けての対策だとは思うが、休みの日に学校の校庭で子供たちが遊びにくくなってしまっているような気もした。


撮影してきた写真。自転車で彼らはどこから入ったのだろうか。

間違いない、写真と同じ場所。
左側に移っている体育倉庫と外トイレは昔分離していたが、自分が卒業する頃に真ん中に増築されて今のような形になっている。また、これを見て気づいたが、拾ったフィルムの写真には体育館前の植え込みが無い。自分が入学した時点でこの植え込みはあったから、やはり相当古い写真と判断してもよさそうだ。

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小さい頃なんとなく拾ってきたフィルムでも、ある程度年をとってから見るとまた新しい発見があるものだ。道で変わったものを見つけては拾ってきて宝物にしていた小学生時代だったが、その拾ってきたガラクタの中で再び自分の好奇心を刺激したのはこのフィルムだった。

特にポジフィルムだと肉眼では見えない情報がたくさん詰まっているから、それをいろいろ調べている時のドキドキ感はたまらない。デジカメを持ち歩いて日常を撮り歩いたり、旅にカメラを2台持っていったりする自分だが、改めて「写真って面白いな」と感じると共に、好奇心の対象が小学校の時から変わっていないことにショックを受けてみたりした。


<2003/06/14製作>

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